ニュースの論点No.272 悪質クレーマーにどう対応するか

 「悪質クレーマーは『排除の対象』と判断を 乗客怒鳴ったJR駅員の対応、弁護士はどう見る?」2022712日、ITmediaビジネスONLINEはこう題した記事を掲載しました。記事によれば、「JR山手線の渋谷駅で、線路に財布を落とした男性が非常停止ボタンを押し、駅係員が激高する様子を映した動画がSNSで拡散し、波紋を呼んだ」としています。

 

 このやりとりについてはご存じの方も多いのではないでしょうか。JR駅員の乗客に対する言葉遣いや態度など、多少過激な部分はあったかもしれません。しかし、乗客側がスマホで撮影をしながら、駅員をわざと怒らせるような言動をとっていたことも事実です。乗客は非常停止ボタンを押す前にも危険な行動をとっており、駅員が後から拾うと説明したにもかかわらず、結局ボタンを押してしまいました。

 

 現場をすべて見ていたわけではありませんが、おそらく乗客側による身勝手で悪質な行動がすべての原因と言えるでしょう。また、動画をSNSにアップするなど、あえて事を荒立てるための愉快犯的な考えもあったと思われます。いずれにしても、他の乗客にも相当な迷惑をかけているのは事実です。わざと財布を落としたわけではないかもしれませんが、一連の行動から、「悪質クレーマー」と言われても仕方がないでしょう。

 

 さて、私も20年以上アパレル業界に身を置いていますので、お客様からは本当にさまざまなご意見やご要望をお伺いしています。ほとんどの場合、検品ミスや接客対応の仕方など、商品やサービスに明らかな問題があり、お客様ではなくこちらに非があります。

 

 ただ、中には「根拠のない言いがかり」や「スタッフへの八つ当たり」、さらに悪質な場合は「商品の詐取」や「返金目当て」のクレーム(ではなく事件)が発生することもあります。

 

 特に最近は、店側がいつの間にかお客様に評価され、それが可視化されるようになりました。JRの件のように、動画に撮られることもなきにしもあらずです。この点、明らかな悪質クレーマーでも、店舗現場では対応にかなり気を使います。

 

 クレーマーには共通点があります。それは、必ず「言いやすい人(自分より弱そうな人)」に対応を求めることです。要は狙ってやっているということです。これは店舗ビジネスだけではなく、学校でも、役所でも、会社の受付でも、どこでも当てはまる事実です。

 

 どうすればいいか。当たり前ですが、クレーム対応のマニュアルを作り、それを徹底することです。要は、「人によって言うことが違う」をなくし、さらに訓練によって現場スタッフに毅然とした態度を身につけさせることです。

 

 といっても、そう簡単には身につかないかもしれません。新人が対応する場合もあります。そんな時は、人を変えてください。同じ担当者では絶対に解決しません。「上司」を簡単に出してしまうのは問題ですが、同じ登場人物だけでは、進む話も進まなくなります。先輩や同僚などに報告し、対応を変わってもらうようにしましょう。

 

 場所や時間を変えるのも効果的ですが、長年の現場を見てきた結論から言えば、人を変えるのが一番効果的です。もちろん、正確な情報共有が前提となります。ただし、一部ですが、対応を変わった後さらに火に油を注ぐ人がいます。老舗の百貨店やSCの担当者はその傾向にあります。要は対応が下手。そうならないためにも、自社で前もってクレーム担当者を決めておきましょう。

 

 翻って、悪質なクレーマーは実はそう多くありません。ほとんどは正当なご意見、ご要望を伝えてこられます。「言いにくいことを言ってくれる人」は顧客になりやすいという特徴を持っています。ぜひ、正当なクレームは大切に扱い、将来のお得意様と思って誠意のある対応をしてください。

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