ニュースの論点No.283 粗利は大切。でも

 「1385000円の日本酒『零響』が、飛ぶように売れる理由」2022924日、Forbes JAPANはこう題した記事を掲載しました。記事によれば、「1500mlで、385000円。この最高級の日本酒が売れているという。『その名は零響(れいきょう)』(新澤醸造店)。世界で999本の限定販売だ」としています。

 

 500ml385000円はちょっと理解の範囲を超えているような…。この零響はなぜこんなに高いのか。「精米歩合」「化粧箱」など突出した特徴があるようです。

 

 まず精米歩合(削った米の残りの割合。削れば削るほど雑味は少なくなるとされています。)は、平均的な日本酒は7割前後、大吟醸で5割以下の中、零響は0.85%だそうです。0.85%? ほとんど米が残っていません。それだけ贅沢な作り方をしているということでしょう。ちなみに精米に5297時間(221日)かけているそうで、精米技術も相当なレベルが必要とのこと。

 

 また、化粧箱も組子細工(釘を使わずに木を幾何学的な文様に組み付ける木工技術)職人が作る最高品質の箱とのこと。関わるすべてのものに妥協なくこだわった結果、38万という高額な日本酒が生まれたのでしょう。

 

 購入する顧客は世界の超富裕層で、リピーターも多いとのこと。まあ、一般庶民にはなかなか手が出ない価格帯ではあります。何かの機会にぜひ味わってみたいものです。

 

 さて、この話を聞いて「へーすごいなー」で終わっても仕方がありません。私たちは経営者として、学ぶべきことがいくらでもあります。今回は中小企業の戦略的な着眼点で見ていきましょう。

 

 そもそも、いくら商品にこだわって高い価格を付けても、買ってくれる人がいなければ商売として成り立ちません。この醸造店も思い付きで作ったわけではなく、明治の創業以来、度重なる商品開発、そしてそれらが世界的イベントやファーストクラスで扱われ、段々とその名を確かなものにしてきました。

 

 中小企業経営を成功させる戦略のセオリーとして、「ターゲットやエリアを絞り込み、尖らせた商品・サービスを開発して、高い粗利率を維持できる価格設定をする」のはよく挙げられます。これはもちろん間違いではないし、目指すべきものです。

 

 今回の日本酒もまさに同様の戦略で成功したパターンに見えます。しかしながら、昨日今日始めた会社が、変なこだわりのあるやたら高い商品を売ったところで、お客様に支持されるでしょうか。まぐれ当たりはあったとしても、継続して成果につなげることはかなり難しいと思われます。

 

 お客様との信頼関係をつくることが先であり、高い商品でも「買う人」がいる状態にしておくことが肝心です。誰もいない中で、高くてわけのわからない商品を紹介しても怪訝な顔をされるだけです。

 

 経営者の皆さん。まずは自分サイズの商品・サービスでお客様との信頼関係をつくりましょう。最初からこだわりまくった高い商品である必要はありません。地道な積み重ねこそが商売を成功させる唯一の道です。

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