コラムNo.297 事業計画が単なる予定になっていませんか

 経営者の方に質問です。皆さんは「事業計画」を作っていますか? ちなみに2016年、中小企業庁が日本アプライドリサーチ研究所に委託した調査では、個人事業者4割、法人は6割が作成したことがあると回答しています。

 

 私の経験上もっと少ない印象がありますが、おそらく毎年ではなく、補助金や融資等で一度は作ったことがあるというのが回答の現実かもしれません。

 

 さて、その事業計画ですが、「あんなもん作ってもムダ」という意見も相当あります。理由を聞けば、「計画通りにいかないから」が多数。まあ、それはその通りで間違いありません。私も事業計画通りにいく会社を見たことがありません。

 

 逆説的ですが、「計画通りにいかないから計画が必要だ」と私は経営者の方に伝えます。

 

 計画を実現するには周囲(利害関係者)の協力が不可欠です。周囲に対し、頭の中にあるイメージを口頭だけで伝えてもすぐに忘れます。誰も覚えておらず(そもそも知らず)、もちろん協力などしてくれません。計画として「想いが入った形」があればこそ伝わりやすくなるのです。しかも周囲の理解が進むと協力者が増え、早期実現効果が高まります。

 

 加えて、計画は自社が今どの位置にいるのか、目的地に到達するための地図としての役割も担います。良くも悪くも、ズレを修正するための確かな指針として事業計画は圧倒的に有用です。

 

 一方で、変な専門家が表面上の事実をかき集めた、言葉や数字がきれいに並んだだけのお飾りのような事業計画は無意味です。誤解を恐れずに言えば、補助金や融資用に作った「事業計画」はほとんど役に立ちません。そもそも誰も見返さないでしょう。高いお金を払って専門家を雇ったが意味がなかった…。当たり前です。実践が伴わなければ、成果など残せるはずもありません。

 

 ここで、事業計画について参考になる考え方をご紹介します。東芝の再建や行政改革を行った土光敏夫(1896-1988)は「計画とは将来への意思である。将来への意思は、現在から飛躍し、無理があり、現実不可能に見えるものでなくてはならない。現在の延長上にあり、合理的であり、現実可能な計画はむしろ「予定」と呼ぶべきだろう」と喝破しています。

 

 そして、「将来への意思としての計画は、困難を受け入れ、困難に挑み、困難に打ち勝つモチーフ(動機)を自らのうちに持たなければならない」と厳しいながらも本質的な考えを伝えています。

 

 つまり、今の延長線上で合理的・実現可能な計画は「予定」でしかなく、達成不可能と思われるような困難を打破する意思表明をしたものが「計画」となります。大変厳しいようですが、経営者であればご理解いただけるのではないでしょうか。

 

 経営者が他人に事業計画書を作ってもらう…。このように周りに正解を求めるのは仕事の放棄と言われても仕方がないかもしれません。自分が下した決断を正解にするのが経営者です。VUCAの時代と言われますが、いつの時代でも先は見えません。ぜひ自分の意思で会社を経営していきましょう。

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