ニュースの論点No.674 流行に乗るか飲まれるか

 「高級食パン・タピオカ・唐揚げの次は『おにぎり専門店』が急増中!…」週刊女性PRIMEはこう題した記事を掲載しました。記事によれば、「このところお米の産地や具材にこだわった『おにぎり専門店』、いわば高級おにぎり店の出店が相次いでいます」としています。

 

 もちろん、以前から繁盛しているおにぎり専門店は一部にはありましたが、近年では飲食大手や他業種で成功した経営者等も参入し、店舗数も急激に増えつつあります。多くの飲食関係者から熱い視線が注がれている市場です。

 

 ここでちょっとだけ「おにぎり」を深掘りしてみたいと思います。そもそもおにぎりはいつから存在するのか。日本最古のおにぎりとして、約2000年前の弥生時代のものと見られるおにぎりの化石が発見されています(炭化米、1987年石川県能登半島)。

 

 それから現代まで、作り方や形を変えつつ、おにぎりは長く日本の食文化の中心となっています。ちなみに「おにぎり」は「おむすび」「にぎりめし」など別の呼び名がありますが、2013年の調査によれば、日本全国では「おにぎり」が89%で大半を占めるとのこと。「おむすび」は中国地方の一部のみで多く見られたそうです(Wikipedia)。

 

 1980年代にコンビニおにぎりが「のり(をパリパリで保持する)フィルム」の開発・高機能化によって勢力を増し、今でも主力商品の一つになっています。また80年代は「天むす」もブームとなりました。その後、「冷凍焼きおにぎり」がニッスイから発売され、さらに「おむすび山」などのおにぎり用ふりかけが登場し、おにぎりのバリエーションも増えていきます。

 

 そして2014年、「おにぎらず」がブームとなります。サンドイッチのように具を挟むタイプで、1991年「クッキングパパ」に登場したレシピが時を経て復活し、人気となりました。

 

 このように弥生時代から現代まで徐々に進化しつつ定着してきた「おにぎり」。今では日本を飛び越え、おにぎり専門店がパリやニューヨークなどで行列ができるほどの人気となっています。

 

 さて、そんなブームが到来したと言えるおにぎり専門店。今後はどうなっていくでしょうか。経営コンサルタントの一倉定氏も言っているとおり、ブームというのは供給過剰の直前の状態です。「おにぎり専門店」もこのままいけば食パン、タピオカ、唐揚げ同様かなり危険な状態になるでしょう。

 

 本当によくあるケースですが、後からブームを知った人たちが「これは売れそうだ」と安易に似た業態をつくり(FCなど)、ある地点で一気に爆発、飽和状態となります。

 

 ブームにさえならなければ、ニッチな市場で長く続けることができます。しかしいったん火が付くと誰にも止められません。

 

 しかも「おにぎり」は参入障壁が相当低い。端的に言えば、米を炊いて手で握るだけです。もちろん、食材選びや握り方、食感、形、見せ方などにこだわれば別ですが、基本的には誰でも安価に、そして技術も必要ないため簡単に始められます。

 

 趣味程度でやるならいいですが、商売としてやるには相当な覚悟が必要です。いくら高級とは言え、単価は数百円程度です。つまり数をこなす必要がある。損益分岐点売上を超えるには、“毎日”相当な数を売らなければならないでしょう。

 

 「おにぎり」自体がなくなることはありません。ただ、おにぎりを専門とした店舗を続けるのは、誰がどう考えても厳しいものがあります。市場の初期から牽引した一部の「ブランド」だけが残り、後発組は大半が淘汰されていくでしょう。

 

 基本的に流行りを追うと失敗します。流行に敏感なアンテナは必要ですが、流行の波にのまれないようにしてください。顧客からの長期的な支持を得られるように、普段から自社の強みをしっかりと磨いておきましょう。

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