ニュースの論点No.740 お化粧は控えめに

 「『入社前と話が違う』退職代行サービスに新入社員から依頼相次ぐ」2024414日、毎日新聞はこう題した記事を掲載しました。記事によれば、「24年度が始まり、12日までの依頼件数は計545件。そのうち新卒者からの依頼は約80件だった」としています。

 

 退職代行サービスは2018年ごろから話題となり、今では確認できるだけでも10社を超える企業が参入しています。料金は概ね2万円台で、主に退職の報告、手続き等を代行するサービスが提供されています。

 

 なお、2023年のエン転職のアンケート調査によれば、退職代行サービスの利用者は回答者の2%でした。市場は大きくなりつつありますが、まだまだ実際の利用者は少数派です。

 

 さて、従業員が退職にいたる最も大きい理由の一つは、記事タイトルにもある「入社前と話が違う」です。私もアパレル小売店を経営する中で多くの退職者と接してきましたが、確かにその通りの部分はある思います。

 

 ただ、従業員は業務中疑問に思ってもなかなか言わない(言えない)人が大半です。多くは積りに積もったストレスを抱え、やめる時はもっともらしい理由(引っ越しや家庭の事情など)を挙げて退職していきます。

 

 「言いやすい雰囲気」をつくるのは経営者の仕事の一つですが、やめる人に対しては「裏切者」と捉える経営者も多く、退職者への風当たりはどうしても強くなりがちです(私も以前はそんな対応になっていました)。そのままの状態だと、本当のことを言う退職者はほとんどおらず、会社は何も改善ができないままとなります。

 

 翻って、従業員に「入社前と話が違う」と感じられるのは、つまるところ会社が「お化粧」しているからです。他社より良く見せないと応募者が少なくなります。嘘ではない程度に情報を盛り、都合が悪い部分は隠します。定額残業代を加え、月給を高く見せるのはその一例です。

 

 とはいえ、私も経営者の端くれだったので盛りたい気持ちはわかります。ただ、それをやってしまうと結局自分に跳ね返ってきます。離職率は高まり、いい人材はこなくなるのです。

 

 今はすべての情報が簡単に表面化します。特に「隠したい情報」ほど、面白おかしく情報が盛られ、一気に拡散するリスクが高いと言えるでしょう。

 

 退職代行サービスについては、使う退職者側にも問題があるかもしれない一方で、使われる会社側はそれ以上に問題がある可能性が高い。おそらく退職者から「話にならない」と思われているのでしょう。

 

 退職代行サービスを使われてしまうのは、お互いの信頼関係がない証拠でもあります。まずは経営者が見栄を張らず、お化粧しないように事実に基づいた情報開示をしていきましょう。

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