
クライアントご支援の際、たまに他分野の専門家の方が入られる場合があります。つい最近でも、関与先がDX系の専門家に依頼し、一度支援に入ってもらったそうです。
私はその専門家とはまったく面識もなく、今回の支援でも特に情報共有など行う機会はありませんでした。後からクライアントから話を聞くと、どうも現状の把握をしないまま「セオリー通り」のアドバイスをして終わっている印象を受けました。
そのクライアントの経営状況では優先度が低いような「教科書的アドバイス」で、間違いではないけどそれを今やってどれほどの効果があるのか、クライアントも多少困惑している様子でした。
専門家同士が組んで支援する際、クライアントのお困りごとに合わせて役割分担を相当うまくやらないと失敗する可能性が大です。特に個々の専門家が逐次投入されるようなつぎはぎ型支援では、それぞれが好き勝手に自分がやりたいことをやるだけで効果は薄くなります。
以前、クライアントのお困りごとを把握する前にチームを組まされたことがありますが、高い確率でうまくいきませんでした。私の未熟さもあったと思いますが、特に公的機関絡みのプロジェクトでは、話もろくに聞かずに知識の押し付けのような支援を行う専門家がとにかく多かった印象です。
チームによる支援では事前のコミュニケーションで綿密な情報共有を行い、同じ目的・方向性を持って臨む必要があります。当たり前ですが、私はこれができなければチームによる支援依頼はお受けしないと決めています。
「船頭多くして船山に上る」という言葉があります。「指図する人間が多いために統一がとれず、見当違いの方向に物事が進んでしまうたとえ(デジタル大辞林)」で、まさに今回の内容を表していることわざです。
一つの目的に対してリーダーは原則一人。こうしないと現場は混乱し、目的は達成されません。リーダーは方向を示し、仲間を集め、意思決定をする人です。この点、経営者は例外なくすべての人がリーダーであるべきです。
翻って、専門家は経営者が示す方向(ビジョン)に向かう手助けをする役割で、自分がやりたいことや得意分野を押し付けるのは筋違いです。専門家チームを束ねる役割であれば、そのチームではリーダーとして動く。ただしそれはあくまでも経営者のビジョン実現のためです。
経営者、専門家の双方が自分の役割をしっかりと把握しておく必要があります。大事なのは経営者が目指したい場所です。
経営者の皆さん。リーダーとして明確なビジョンを持ちましょう。専門家はそのために使い倒してください。目的もなく、思いつきで何人もの専門家に依頼すると「船頭多くして船山に上る」ことになりかねません。
あなたの船はどこを目的地にしているのか。ここがすべてのスタートであり、最終的なゴールとなります。

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