
「明るい笑顔」「暗い性格」「固い人」「柔軟な思考」「温かい人柄」「冷たい態度」「甘い生活」「苦い経験」…。人間の五感を使った比喩的な表現は数多く存在します。
人間がある物事に接した時に湧き上がる「感覚や印象」には、視覚や味覚、嗅覚などの「五感」を処理する脳の部位が影響を与えています。
視覚から感じる「明暗」や味覚の「甘い苦い」などが自分の別の経験にも適用される。実際、それぞれの感覚は脳の同じ部位が反応しているそうです。
さて、ここからさらに興味深い話です。コロラド大学の教授らが行った「エレベーターの中でメモを取るためにコーヒーを持ってもらう」という実験。コーヒーはホットとアイスの2種類で、実験後に依頼者の印象を評価してもらいます。
するとホットコーヒーの方が「温和で親近感を覚える人」と高評価が与えられました。実に単純な感じがしますが、人間の脳は想像以上にまっすぐで正直なのです。
雨の日の初対面よりも晴れの日の方が好印象になるという実験もありますので、外部の環境やそこから受ける刺激は、ことのほか人間に大きな影響を与えているのでしょう。
結局のところ、「脳は単純で騙されやすい」。これはビジネスでも活用すべき事実だと思います。悪用するのは論外ですが、変な誤解を生まず正当な評価をされるためにも自分自身の印象をコントロールすることは重要です。
この点、人間の脳は重いものを「重要」と認識する傾向があります。これは言葉の成り立ちからも明らかです。実際、履歴書を軽いボードと重いボードにそれぞれ挟んで評価してもらう実験では、重いボードの方が高い評価になったそうです。
顧客に渡す書類をペラペラのクリアファイルではなく、重厚感のある素材のレザーファイルにする。名刺の素材を変えて厚みを増す。電子書籍のPDFファイルをメールで送るのではなく、あえてハードカバーの書籍にして対面で渡す。
店舗であれば、メニューをラミネート加工の1枚ものから厚みのある冊子にする。プラスチックの器を陶器に変える。ビニールから紙の袋にする。
ちょっとした工夫で「重要」と認識されやすくなります。細かなテクニックと取られるかもしれませんが、人間の性質に根差した至極真っ当な方法です。自分自身が不当に軽く見られないためという一方で、相手に対する気遣いの側面もあります。
自社が提供する商品やサービスがどう見られ、どんな印象を持たれているか。実は提供する私たちでコントロールできる部分が大半。要はやるかやらないか。しかも脳は単純ですので、小難しいことではなくストレートなやり方が効果を高めます。
経営者の皆さん。ぜひ脳の性質を知り、ビジネスでも活用しましょう。想像以上に人間の脳は単純で素直です。ポジティブな影響を与え続けることで、ビジョン実現に近づいていきます。

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