ニュースの論点No.790 サードプレイスの行方

「『サードプレイス』復活を目指すスタバ、足かせはモバイルオーダー」2024109日、BUSINESS INSIDERはこう題した記事を掲載しました。

 

記事によれば、「ここ数年、スターバックスはカフェ文化を求める客と、ただ手早くにコーヒーをテイクアウトしたい客の両方に対応しようと努めてきたため、店舗での注文の待ち時間が長くなっている」としています。

 

また、モバイルオーダー対応のために店舗でのサービスが行き届かず、「サードプレイス」としての機能が十分に発揮できていない状況だと伝えています。

 

私もスタバではモバイルオーダーが早いのでほぼ毎回利用しています。並ばず席にもすぐ座れるため、時間のムダもなくなります。一方で、記事のようにスタッフの負担は増えているのかもしれません。ちなみにモバイルオーダーの割合は全体の3割超とのこと。

 

「利便性の追求」と「サードプレイス(自宅でも職場でもない、第3のリラックスできる場所)」は相反する概念ではないにしても、どちらかに偏るとバランスが崩れて顧客満足が損なわれます。

 

客層の違いによる価値観の違いも表出するため、店舗に集まる人々の「違和感」が大きくなり、上質な店舗体験ができなくなります。

 

記事タイトルのようにスタバが「サードプレイス」復活を目指すのであれば、モバイルオーダーの縮小や取りやめも選択肢に入れる必要があるでしょう。

 

話は大分変わりますが、丸亀製麺は101日、モバイルオーダーサービスを1031日で終了すると発表しました。ユーザーの利用状況等を総合的に判断した結果だとしています。

 

丸亀製麵はサードプレイスではなく、吉野家よろしく「早い安いうまい」の部類に入る短時間滞在のお店です。先日私が店舗を利用した時も、誰もモバイルオーダーを利用しておらず、カウンターに行列ができていました。

 

丸亀製麺は並びながらメインメニューや揚げ物などトッピングを選ぶライブ感が支持されており、そもそもモバイルオーダーが利用されていなかったのかもしれません。結果、サービスを終了しても業績を左右するほどではないということなのでしょう。

 

一方のスタバはモバイルオーダーで業績は上がったかもしれませんが、サードプレイスという価値を棄損している可能性がある。

 

さて、あなたならどう判断するでしょうか。丸亀製麺はモバイルオーダーのメリットがなく終了する運びになったわけですが、スタバの場合はそう単純な状況ではない。

 

時間をかけながら矛盾を乗り越え、両立させる道を選ぶのか。店舗によってサービスを棲み分けるのか。あるいはサービスを取りやめるのか。はたまたサードプレイスをやめて全く違う道を選ぶのか。

 

いずれにしても、「顧客に対してどんな価値を提供するのか」が最も重要な問いであり、これに答えず行き当たりばったりの対症療法で済ませても、すぐに同じ壁が立ちはだかることになります。

 

経営者の皆さん。あなたの会社が提供する価値はなんでしょうか。また、その価値を棄損しながらも業績を伸ばせるサービスが出てきた場合、どう判断するでしょうか。

 

ビジネスに限らず、判断する際はプラスとマイナスの明確な状況差はなく、常にプラスとプラスの間で判断しなければならない「曖昧な状況」です。したがって、すべての判断軸は「あなたの価値観」によります。

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