ニュースの論点No.820 初任給は上げるべきか

「大手企業で初任給30万円台続々 約85%が引き上げ 新卒の獲得競争が激化」2025118日、産経新聞はこう題した記事を掲載しました。

 

大手企業が次々と初任給を引き上げています。ユニクロは新卒社員の初任給を33万円、東京海上日動火災保険は最大41万円にまで引き上げると発表しました。

 

大手企業が初任給を大幅に引き上げる中で、中小企業の経営者が直面する不安は極めて現実的です。給与を上げなければ人材を確保できない一方で、既存社員の待遇も見直す必要があり、結果的に人件費の負担が経営を圧迫します。

 

しかし、対症療法的に給与を引き上げるだけでは問題の根本解決にはなりません。今こそ、経営者としての視点を高く持ち、目の前の困難を乗り越える「本質的な選択」が求められています。

 

企業が持続的に成長するためには、まず「自社が何のために存在しているのか」という問いに立ち返る必要があります。この問いに明確に答えられないままでは、採用や給与改定といった個別の施策は場当たり的なものに終わってしまいます。

 

企業のミッションやビジョンを再定義し、それが「社員にとっての誇り」になるよう形作ることが、これからの経営における鍵です。人は単に給与が高いからその会社を選ぶのではありません。

 

「この会社の一員としての経験が、自分にとって大きな意味を成している」と感じられる環境でこそ、真のモチベーションが生まれます。

 

同時に、採用の基準を厳密に再考する必要があります。経営者として、新入社員を迎えるたびに「この人を採用することで、自社は10年後どう変わるか」を想像してください。

 

人材採用は単なる人手不足を解消するための手段ではなく、会社の未来をデザインする行為です。採用基準を「目先のスキル」から「将来の成長ポテンシャル」にシフトし、入社後に成長できる土壌を整えることが重要です。

 

一方で、さまざまな課題に対応しながら「収益性を伸ばす」という現実的な取り組みは、経営者にとって最も難しい課題かもしれません。その解決には「顧客との深い信頼関係」が大きな役割を果たします。

 

人は、他の誰でもない「あなたの会社だからこそ」商品やサービスを選ぶのです。そのためには、顧客が求める価値を深く理解し、その価値を明確に伝える仕組みをつくる必要があります。

 

たとえば、「安さ」ではなく「この会社でしか得られない体験」に焦点を当てた営業スタイルや商品開発を進めることで、価格競争から抜け出し、高い付加価値(粗利)を実現することが可能になります。

 

最後に、経営のプレッシャーを感じる中でも、「全てを一気に解決しよう」と考えないことが大切です。企業経営は一つひとつの選択が積み重なり、未来が形作られます。

 

大切なのは、今取り組むべき課題と将来のビジョンをしっかり結びつけること。時には、目の前の売上やコストを超えた長期的な視点での決断が求められるでしょう。

 

現状における混乱や焦りは、「今の自分や会社は不十分だ」という感覚から生じるものです。しかし、その感情に飲み込まれるのではなく、それを原動力に変えてください。

 

経営者として「不安の裏に潜む未来への可能性」を見つける視点を持つことで、困難な局面も希望へと変わります。最も大切なのは、自分の会社の価値を信じ、それを未来へ繋ぐ強い意志です。

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