ニュースの論点No.850 逆パワハラへの対応策

「部下から上司への「逆パワハラ」はなぜ起きる? 「声が小さい!」と叱咤、SNSに中傷…。逆パワハラされる召使い上司の惨状とは」202557日、東洋経済オンラインはこう題した記事を掲載しました。

 

記事の通り、部下から上司への攻撃的な言動――いわゆる「逆パワハラ」が経営リスクとして浮上しています。

 

改正パワハラ防止法や通報制度の整備、SNS拡散により可視化された結果、部下から上司への暴言や社内SNSでの中傷といった事例が表面化しました。

 

たとえば今年3月には、陸上自衛隊富士駐屯地の22歳陸士長が先輩隊員への「うざい」「死ね」といった暴言と部屋のドア蹴りで停職処分を受けるケースも報じられました。

 

背景にはまず、転職求人倍率2.51倍(2025年3月時点)の売り手市場があります。部下は「辞める」とちらつかせながら強気の交渉を仕掛け、職場の交渉力バランスが崩れやすくなっています。

 

加えて、心理的安全性の浸透を口実にヒエラルキーをやみくもに薄めた結果、根拠なき批判や無遠慮な提案が横行し、組織の意思決定が混乱をきたす事態が増えています。

 

世代間ギャップも深刻です。厳しい就職難を経験した氷河期世代は「自分たちの理不尽を下の世代に味あわせたくない」という想いから、過剰にフォローする“召使い上司”に陥りがちです。

 

一方、SNSネイティブのZ世代は自己ケア志向が強く、自らの傷つきやすさを主張する反面、相手への配慮や共感を示しにくいという特徴があります。

 

では、企業はどう立て直せばよいのでしょうか。まずは信頼関係の醸成です。定期的な1対1の対話で業務以外の関心事も掘り下げ、自身の失敗経験を率直に語りましょう。小さな約束(返信期限や面談時間)を必ず守ることで言行一致を示し、部下の心を開かせます。

 

そのうえで、部下自身に目標案を立ててもらい、助言を加えながら磨き上げる合意形成型の目標設定を取り入れましょう。

 

日々のフィードバックは「まず承認→改善点→再度承認」のサンドイッチ方式で伝え、厳しい指摘でも受け止めやすい流れを作ります。信頼関係が築けた段階で、根拠を示しつつ適度な厳しさを段階的に導入し、その後は必ずフォロー面談を実施してください。

 

逆パワハラは「法制度」「労働市場」「世代背景」「組織ダイナミクス」が複雑に絡み合う現象です。まずは今日から1対1対話の仕組みを見直し、小さな約束を徹底して守ること。それが、信頼を基盤とした健全な職場風土への第一歩となるはずです。

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