ニュースの論点No.862 未来を描ける会社には、未来を見せられる上司がいる

「上司の働き方が「やる気を下げる」? 20代の3割がマイナス影響と回答」20250615日、ITmediaビジネスONLINEはこう題した記事を掲載しました。

 

上司の働き方が、若手社員のやる気に影響する。そんな調査結果が出ています。ジェイックの調査によると、20代正社員の約3割が「上司の働き方が意欲にマイナスの影響を与える」と感じています。

 

「必要以上の残業をしている」「会社の不満を口にしている」「部下と話さない」「プライベートを犠牲にしている」「自分ではやらないのに指導だけする」。こうした日々のふるまいが、部下にとってはやる気を削ぐ原因になっているのです。

 

本人に悪気はなくても、部下にはしっかり伝わっている。とくに今の若手は、上司に「未来の自分」を重ねて見ています。毎晩遅くまで働き、家庭を犠牲にし、愚痴をこぼす上司。それを見て、「自分もこうなるのか」と思えば、そこに希望はありません。こうして、会社を辞める決断に至るのです。

 

昔も同じような上司はいました。ただ違うのは、今は転職が当たり前の時代だということ。SNSや口コミサイトで情報も手に入りやすく、「ここでは無理だ」と思えば、別の選択肢をすぐに探せます。だからこそ、上司のふるまいひとつで会社の評判が変わり、人が辞めていく。そんな時代になっているのです。

 

若手が辞める理由は、いつも本音が語られるわけではありません。「キャリアアップのためです」「新しい環境で挑戦したくて」などと前向きに表現されます。でも本当は、「このままここにいても、自分の未来が描けない」という思いがあることも少なくありません。

 

経営者として考えたいのは、管理職がどんな背中を見せているかという点です。数字だけを追いかけ、疲れた表情で愚痴をこぼす上司がロールモデルになる会社に、未来はあるでしょうか。部下はその背中を見て、「ここで働き続けたい」と思えるでしょうか。

 

いま必要なのは、未来を見せられる上司です。成果を出すことはもちろん大切ですが、それだけでは足りません。どんな働き方をしているか、どんな価値観を大事にしているか、どう人と接しているか。そうしたふるまいすべてが、若手にとっての会社の未来像になるのです。

 

まずは、自分がどう見られているかを上司本人が知ることが大切です。部下にどう映っているか、どう受け止められているか。1on1やサーベイでのフィードバックはその入口になります。上司自身が変わろうとする姿勢があれば、部下はそれを見逃しません。

 

最近では、上司の関わり方が変わっただけでチームの雰囲気が一変し、離職が止まったという事例も増えています。逆に、上司が変わらないままだと、どれだけ待遇や制度を整えても人は辞めていきます。

 

若手は上司の背中を見ています。そこに疲弊と諦めしかなければ、誰もついていこうとは思いません。でも、挑戦する姿、学び続ける姿、部下に寄り添う姿があれば、それは未来への希望になります。

 

「どんな上司を置くか」は、今や企業の競争力そのものです。人が育つか、辞めていくかは、そこにかかっていると言っても過言ではありません。だからこそ、経営者は上司のあり方にもっと目を向けていくべきです。

 

未来を描ける会社には、未来を見せられる上司がいる。その一言に尽きます。

 

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