
世の中の多くの組織(会社や業界団体、組合など)が、時間が経つにつれて「組織の存続」そのものを目的にしてしまいます。本来、組織とは「誰かに価値を提供するため」に存在しているはず。しかし年月が経つうちに、その当初の使命や目的が曖昧になり、存続そのものを守るためだけの内向きな組織になってしまう。これは決して珍しいことではありません。
特に長い歴史を持つ組織ほど、この傾向が強くなります。例えば私が所属するある会でも、組織が保守的になることで、本来掲げていた使命が形骸化し、内向きな調整や派閥争いが目立つ場面が増えてきました。
組織が内向きになると、「内部政治」が蔓延するようになります。あなたの周りでも、派閥の駆け引きや人間関係の調整に組織のエネルギーが使われてしまい、肝心の顧客や社会への価値提供が疎かになっているという場面を見たことがあると思います。
このような環境にいると、組織内部の人間だけで状況を改善することは難しくなります。組織内には「現状維持バイアス」が根付きやすく、視野も狭くなります。さらに、知らず知らずのうちに「既得権益を守る」方向へと行動が制限されてしまうのです。その結果、「内側の人」だけでは革新が難しくなる。こうした現象を私は多くの組織で目にしてきました。
では、どうすればよいのか。私が経験的に効果的だと感じているのが、既存の組織を無理に変革するよりも、「ゼロベースで新しい組織を立ち上げる」ことです。新たな組織は、過去の慣習やしがらみに縛られず、本来の使命や目的を明確にした柔軟な設計が可能です。
一方で、既存組織には規模や信頼、既存のリソースなどの利点もあるため、革新が完全に不要とは言えません。理想的には、既存組織の資源を一部活用しつつ、新しい小さな組織を立ち上げ、その成功を逆輸入する形で変革を促すのがバランスの良いアプローチだと考えます。
ただし、このアプローチにも注意点があります。新たな組織を立ち上げる際、そのリーダーが自己中心的で未熟であった場合、組織はかえって混乱します。組織内の政治的行動や利己的な考え方が表に出ると、新組織は機能不全に陥ります。そのため、組織を立ち上げるリーダーには、明確な自己認識と客観的評価を受ける仕組みが不可欠です。
また、組織が本来の使命を維持し続けるためには、「定期的な目的と価値の確認」を習慣化する必要があります。「私たちは何のために存在するのか」この問いを組織全体で常に共有することが大切です。さらに、積極的に外部の視点や第三者の評価を取り入れることで、内部だけでは気づかない課題にも対応できるようになります。
経営者の皆さん。今あなたが属している組織は、「存続そのもの」が目的化していませんか?本来の使命を明確に掲げ、顧客や社会に価値を届けることに組織のエネルギーを注げているでしょうか?
「魚も組織も頭から腐る」と言われています。
組織の本当の使命を見失わないためにも、勇気を持って組織の存在意義を問い直すことから始めましょう。そこから新たな一歩が生まれます。組織を変える力は、あなたの気づきと行動から始まります。

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