コラムNo.881 イベント販売のコツ

地域の物産展や催事は、中小企業にとって自社商品を広く知ってもらう絶好の機会です。来場者は多く、会場はにぎやかで熱気に包まれます。しかし、その盛り上がりがそのまま自社の成果に直結するわけではありません。にぎやかさを「自分の売上」に変えるための工夫が求められます。

 

私がこれまで多くの催事を見てきて感じるのは、成功の鍵は「商品力 × 売り方 × 集客」の掛け算で決まるということです。どれか一つでも欠けると、せっかくの機会を活かしきれません。

 

セミナーでは導入で必ず問いかけをします。「お客様が一番魅かれるのは何でしょうか」。多くの方が「安さ」「美味しさ」と答えますが、実は正解は「他のお客様がいること」です。行動経済学でいう「社会的証明」の力が働き、人だかりが人を呼びます。催事ではまず「無人の時間をつくらない」ことが何より大切です。

 

そのためには事前の準備が欠かせません。まず出展商品を「おすすめ3点前後」に絞り込みます。商品を並べすぎると人は迷い、結局何も買わないという心理があるからです。さらに接客トークも準備します。声掛けから試食、ストーリーや利用シーンの提案、そしてクロージングまでを30秒で語れるようにする。こうして準備を整えることで、現場での対応がスムーズになります。

 

また、自社顧客を事前に呼び込むことも重要です。SNSDM、電話などで「ぜひ応援に来てください」と案内する。最初の来場者がブースに立ち寄ってくれるだけで、人だかりのきっかけになります。待ちの姿勢ではなく「呼び込む姿勢」が成功の分かれ目です。

 

当日はまず「立ち止まらせる」ことが勝負です。主力商品は床から80140センチのゴールデンスペースに配置し、Zの法則に基づいて視線の流れに合わせて並べます。色彩も効果的に活用できます。赤やオレンジは食欲を刺激し、黄色は特価感を演出し、黒は高級感を表現します。

 

さらにPOPの文言は「特徴」ではなく「ベネフィット」を伝えることが大切です。「ご飯が止まらない!」「本日限定20個」など、短く具体的な言葉が人を動かします。

 

接客では心理学や行動経済学の知見が役立ちます。通常価格を提示してから割引を伝えるアンカリング効果。「残りわずかです」と伝える損失回避の心理。「本日だけ」という希少性。そして複数の価格帯を提示して中間の商品を選ばせるデコイ効果。こうした工夫を少し取り入れるだけで、購買行動は大きく変わります。

 

特に試食は強力で、「今夜の夕飯に」「お弁当にぴったり」と利用シーンを添えることで、商品を自分の生活に重ね合わせてもらえます。

 

そして忘れてはならないのが、催事終了後のフォローです。多くの出展者はその日の売上に満足して終わりますが、本当の勝負はそこからです。LINE登録やSNSフォローを促し、つながりを持つことでリピート顧客につながります。

 

また、売れた商品・売れなかった商品を記録し、接客や陳列、集客のどこに課題があったのかを振り返ることが次の販路開拓につながります。

 

催事は一日限りの販売イベントではなく、次の商売を育てる「種まきの場」です。商品力を土台に、売り方と集客を掛け合わせ、人だかりをつくり、POPで足を止めさせ、接客で購買につなげ、終了後のフォローで関係性を深める。この一連の流れを意識できれば、物産フェアは単なる出展の場から「売上拡大と顧客開拓の舞台」へと変わるのです。

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