
「シャトレーゼ 相次ぐコンプラ違反 急成長のひずみ、管理届かず 人事・経理など人材拡充」2025年8月20日、日経MJはこう題した記事を掲載しました。
菓子チェーン大手のシャトレーゼで、ここ1〜2年の間にコンプライアンス違反が相次いで明らかになっています。
全国展開を加速させ売上を大きく伸ばした一方で、管理体制が追いつかず、下請法違反や外国人雇用を巡る問題、さらには工場での労働基準法違反まで発生しました。
現場に過剰な負担がかかり、組織全体で重要な情報共有もできない状況が続いた結果、顧客や取引先の信頼を揺るがす事態に至ったのです。
このニュースを「大企業の話」と片付けてしまうのは簡単ですが、実は中小企業にとっても他人事ではありません。急成長の裏側に潜む落とし穴は、規模の大小を問わず存在するからです。
私自身、かつてアパレル小売業で複数店舗を経営していた頃、同じように「急成長の歪み」に直面しました。数店舗を同時に出店し、一気に規模を広げようとしたものの、採用は「頭数を揃える」ことが優先となり、教育や管理は後回しになりました。
管理者も育っていない中で店舗を増やしたため、既存店の売上は落ち込み、新店もうまく軌道に乗らず、結局は店舗を減らすことになりました。攻め一辺倒の拡大が、かえって事業を不安定にさせてしまったのです。
こうしたケースは、私が支援しているクライアント企業でも少なくありません。たとえば、新規事業が好調に立ち上がり、売上が短期間で倍増したものの、現場の管理体制が整わないまま人材を採用し続けた結果、社員の教育が追いつかず、クレームやトラブルが急増した例があります。
経営者は「せっかく成長のチャンスをつかんだのに、なぜか会社が疲弊していく」と戸惑っていました。しかしよく見てみると、売上の増加に比べて「管理者層の育成」が全く追いついていなかったのです。成長の速度に合わせてマネジメントを整備しなければ、結局は足元から崩れてしまう。そのことを改めて痛感させられる事例でした。
私が強く感じるのは、「攻め」と「守り」のバランスが経営においていかに重要かということです。売上拡大や新規出店といった「攻め」だけに集中していると、どうしても組織づくりや管理体制といった「守り」が後手に回ります。
ですが、企業が大きくなればなるほど、現場を支える管理者の存在、そして仕組みの整備は欠かせません。急成長すればするほど、その裏では必ず「人材の空洞」や「情報共有の不備」が生まれ、それが放置されると重大な問題となって表面化します。
特に中小企業では、社長が先頭に立って売上を追いかける姿勢が強く、その分「守りの体制づくり」に時間やお金を割きにくい傾向があります。しかし、ここを軽視すると長期的には大きなリスクになります。
理念やルールを社内に浸透させ、管理体制を整えることは、短期的にはコストに見えても、長期的には会社を守り、社員を守り、そして成長を持続させる最大の投資になります。
シャトレーゼの事例も、私自身の経験も、そしてクライアント企業の事例も、共通して示しているのは「急成長の裏にある組織の脆さ」です。企業の成長はもちろん喜ばしいことですが、それに見合った「守り」を整えてこそ、本当の意味での持続的な成長が実現します。
攻めだけでは会社は続かず、守りだけでも未来は開けません。その両輪が揃ってはじめて、企業は安定しながら前進できるのです。
あなたの会社は、売上の伸びに組織が追いついていますか。いま一度、攻めと守りのバランスを点検してみる時期かもしれません。

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