コラムNo.901 経営にAIを活用する方法

先月、新事業進出補助金とものづくり補助金の採択結果が発表されました。私が顧問を務めるクライアントも、いずれも無事採択され、ほっと胸をなでおろしています。 

 

もっとも、私は補助金申請そのものの代行はしていません。長年にわたり伴走している企業に限り、事業計画づくりの支援を行っています。

 

最近では計画の作成過程でAIを使うことも増えました。しかし、AI使えばうまくいくというものではありません。むしろ、使い方を間違えると本質を見失います。

 

まず大前提として、自社が目指す方向と戦略が明確であること。ここを外すと、どんなにAIを活用しても筋の通った計画にはなりません。 

 

「補助金を取るために計画を作る」のではなく、「自社がどこに向かうのか」を描いたうえで、補助金という制度がその道筋に合えば活用する。この順序が正しいのです。

 

経営の目的が先にあり、補助金はあくまで手段。逆にすると、計画は要件合わせの作文になり、現実とのずれが広がるだけです。

 

実際、補助金を目的化した計画がうまくいった例はほとんどありません。採択されたものの事業が進まず、設備だけが残り、資金繰りが苦しくなったケースも少なくない。

 

結果として、補助金も自己資金もムダになってしまう。いいことは一つもありません。だからこそ、「何のために事業をするのか」を突き詰めることが、最初の一歩なのです。

 

戦略の筋が通っていれば、補助金の採択率は自然と上がります。文章をこねくり回す必要などありません。極端に言えば、補助金の事業計画フォーマットに記載されている項目や文字数制限をそのままAIに指示(プロンプト)として与えるだけで、十分な素案は出てきます。

 

AIは構成や表現を整えるのが得意です。しかし、筋の通った戦略やビジョンがなければ、どんなに整った文章でも中身は空洞のままです。AIが整えるのは「形」、魂を込めるのは人間です。

 

本当に重要なのは、補助金の事業計画づくりを目的にすることではなく、自社の方向性や戦略の策定プロセスそのものにAIを生かすことです。AIは過去の情報を整理し、抜けていた視点を見せてくれます。

 

けれども「どこへ向かうのか」「何を実現したいのか」を決めるのは、経営者自身です。AIで整えるのは情報、人が決めるのは意思。この順序を守れば、AIは経営の強力な味方になります。

 

まずは自分で考える。そして、その思考をAIが補助する。その順序を理解している人は、まだ多くありません。

 

私は日々、経営者の方々とともに、AIを使いながら自社の方向性や戦略を言語化し、形にしていく支援を行っています。

AIが整えるのは情報、人が決めるのは意思。経営とは、「意味を作る」こと。その実践の中で見えてくるのは、「考える経営」の新しい形です。

 

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