コラムNo.801 情報が多すぎる現代

私がアパレル小売業で独立してかれこれ20年が経過しました。今は店舗の大半をスタッフに譲り、経営コンサルタントとして経営者のご支援をする立場で活動しています。

 

店舗現場を離れることで、業界や市場の変化により気づきやすくなりました。アパレル業も他業界と同じく、相当に様変わりしています。

 

まず身近な例では、ネットショップの在庫はもちろん、店舗の在庫もリアルタイムで確認でき、新商品の案内も毎週のように配信されるようになりました。

 

アイテムごとのコーディネートも体格を記載した店舗スタッフが毎日のようにアップし、ブランドのHPSNSで大量に流れてきます。

 

何ならオンラインでも接客が受けられ、写真やサイズをアップすることでバーチャル試着も可能です。

 

さらにお得なクーポンや割引、タイムセール情報なども次から次に発信され、ついでにスタッフのブログではおすすめのカフェやフォトスポットが多数紹介されています。

 

店からのサンキューレターもLINESNS上でやりとりされ、お客様は店に行かなくても買い物ができる状況が整えられています。

 

非常に便利になりましたが、一方で情報量が増大し、一つ一つの情報の価値は明らかに低下しています。加えて、スタッフの接客スキルも大幅に低下。つまり「現場の意味」が薄くなりつつある。

 

翻って、以前のアパレル店は「希少な情報発信基地」という重要な役割を果たしていました。当時はネットもなく、情報源は雑誌やスタッフの話がメインで、その貴重な生の情報を得るために皆こぞって「洋服屋」に行きました。

 

流行りの音楽やイベント、おしゃれな飲食店、雑貨やアンティークショップなど、想像するだけでもキラキラした世界が展開され、話を聞くだけでも刺激的で、そこでしか得られない価値ある情報がありました。

 

同じ価値観の人が集まるとコミュニティも生まれ、そこから新たな文化が発信されていきます。今と比べればアナログで野性的な時代でしたが、当時は当時で人間味を感じ活気あふれるいい時代だったと感じます。

 

さて、今と昔、それぞれにいいところがあると思います。好き嫌いで言えば、「今がいい」「昔がよかった」と個々人で意見も分かれるでしょう。

 

いずれにしても、時代の流れは変えられず、どんどん先に進んでいきます。テクノロジーの進化により、さらに情報量が増え、利便性は増していくでしょう。

 

一方で、リアル店舗がすべてなくなることはなく、今後も一定数は必要とされるでしょう。この点、リアル店舗は何が重視されていくのか。

 

それは「至上の顧客体験」に他なりません。至上の顧客体験とは、オンラインではできない「五感への訴求」や「思いがけない出会い」、「人と人との対面コミュニケーション」がリアルで体験できることです。

 

「視覚や聴覚のみ」を使い、品揃えや新商品が前もってわかる「予定調和」な状況で、AIや画面上のアバターを相手にした「即時平面的なコミュニケーション」は、便利でこそありますが、計算されつくした余白のない状態は「感動(感情の集積)」を生みにくい。

 

人の最終判断は五感をフルに使った「感情」に大きく左右されます。つまるところ感情がものごとをすべて決める。人生を豊かにする至上の顧客体験は、リアルでこそ得られる「感動」の最たるものです。

 

経営者の皆さん。お客様の感情を動かす商品やサービスが提供できているでしょうか。利便性だけを追求しても感動は生まれません。その感動の積み重ねがあなたの商品価値を上げていきます。

    今週の経営コラムを無料でお届け 無料メールマガジン登録はこちら
    よかったらシェアしてね!
    • URLをコピーしました!

    コメント

    コメントする

    目次