
私は今から20年ほど前、アパレル小売事業で独立起業しました。当時は先行きのことをほぼ何も考えておらず、多少の不安とそれ以上のワクワク感のみで最初の一歩を踏み出しました。
現在、中小企業診断士の仕事をしている身からすれば「それでよくやったな…」としか言いようのない、無計画で資金的にもまったく余裕がない状態でした。
創業からこれまでの間、もうちょっと考えておけばよかった…という後悔はなきにしもあらずでしたが、それでも何とかやってこられたのは、お客様やスタッフ、関係者のおかげだと思っています。
また、自分自身がその仕事への熱意、覚悟を持って臨んでいたことが継続の大きな要因だと感じます。
とは言え、もし当時の私が相談に来たら「まずは最低限の創業資金を準備して、行き当たりばったりではなく、事業計画もある程度つくったうえで独立した方がいいよ」とか何とかアドバイスをするような気がします。
さて、少し話は変わりますが、人間は感情の動物です。基本的に感情で動きます。言葉を使って論理的に考えることもできますが、最終的な判断は「感情」が決めます。つまり感情が動かないと、自らの行動につながらない。
いくら理屈を積み上げたところで、本人がやりたくなければやらないし、そもそも選択範囲にも入らない。
綿密に内外環境を調べ上げ、緻密な事業計画を作成し、理想的な組織体制を考えたとしても、そこに熱意や覚悟がなければ絵に描いた餅、仏作って魂入れずの状態です。
もちろん、創業当時の私のようにワクワク感だけでやっても「分の悪い掛け」にしかなりませんが、一方で理屈ばかりこねくり回しても何も進まないし、何の価値も生まれない。
つまり「やりたい」がすべての軸になるということです。「面白そう」や「小さなワクワク感」から徐々に「やりたい」に成長していく。この小さな種を最初の段階で潰すのは非常にもったいないと感じます。
やれない理由ではなく、やるためにどうするかを考える。ここに大事なポイントがあると私は考えています。せっかく「やりたい想い」が出てきているのに、自分自身の、または身近な人からの「無意識的なブロック」で諦める例は枚挙に暇がありません。
とは言え、あまりに「甘い夢物語」では説得力に欠け、一方で理屈だけでは感情が動かない。どちらの状態でも長く継続するのは難しいでしょう。
結局のところ、論理も感情もどちらも必要です。ただし、感情が最初で、最後も感情が決断を下します。考えすぎると大半の場合「やらないほうがいい」となります。
経営者の皆さん。ぜひ自分の「やりたい」という感情を大事にしてください。そもそも、自分の「やりたいこと」は湧き上がるもので、考えて出てくるものではない。私たちのワクワク感は貴重な資源だと認識しましょう。

コメント