
「コロナで意欲低下、震災以上」2020年11月2日、日経MJはこう題した記事を掲載しました。全国の企業に勤める従業員1034人に対するアンケート調査によれば、「ウィズコロナ時代のモチベーション調査で、まず浮かび上がってきたのが厳しい仕事環境だ。半数近くが、所属する会社の業績が悪化したと回答。自身の給与水準が悪化したとの回答も約3割に上った。」としています。
東日本大震災後の調査と比べ「コロナ禍以降、やる気が上がった」への肯定的な回答は17ポイント低下しています。現在のコロナの影響は震災時と違い、建物などハード面が破壊されるような、はっきりと目に見える部分が少なく、復旧の過程も何だかよくわかりません。誰もが何をどう目指して頑張ればいいのかわからない、さらにその先も全く読めないことがモチベーション低下に拍車をかけています。
一方、アンケートで興味深いのは、従業員のモチベーションが何に支えられているかを示唆している点です。アンケート結果から見えること。それは企業の「ビジョン」や「理念」が従業員を気持ちの面で支えるという事実です。特に先が見えず、誰もが強烈な不安に襲われているコロナ禍の状況の中では、進むべき目印として「ビジョン」や「理念」がその真価を発揮するのです。
逆境の時こそ、創業者より受け継がれた、また時代によってブラッシュアップされたビジョンや理念は相当なパワーを生み出します。もちろん、会社が順風満帆であるときも、立ち位置を見失わないように、調子に乗りすぎないように基準を明示してくれます。ただ、多くの人がビジョンや理念の存在を強く感じるのは、やはりどうにもうまくいかない、誰もが諦めの気持ちを抱くような逆境の時といえるでしょう。
だからといって、付け焼刃的なビジョンや理念は無意味どころか逆効果です。むしろ企業を破滅に向かわせることにもつながるでしょう。いくら重要なことでも脊髄反射的につくられたビジョンや理念は誰の心にも響かないばかりか、従業員が白けてしまい、モチベーション低下を招きます。その後はご想像の通り、悪循環で破滅の道を歩まざるを得ません。
ですので、やはり創業時より、自分たちは何のために事業を行っているのか、何をすべきなのか、どこに向かっているのかという重要な問いを続け、できる限りの言語化をするべきなのです。私に言わせればこれは経営者の義務です。「創業間もなくて大変だからビジョンとか理念とかキレイごとを言ってる場合じゃないよねー…」なんていうセリフは論外であり、単なる甘え体質の戯言です。何も「思い」がないなら創業などしないほうがマシなのです。
ということで経営者の皆さん。最初はざっくりとで構いませんので、「何のために事業を行っているのか」、「そのために何をすべきなのか」、「そしてどこに向かっているのか」という問いに答えましょう。さらにそれを書面で残しましょう。そして従業員に開示しましょう。逆境の時に必ずその力を感じ取れます。

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