ニュースの論点No.187 百貨店はネット接客で復活するか

 「伊勢丹新宿店 全商品をネットで接客・販売 21年度にも 苦境の店舗販売下支え」20201125日、日本経済新聞はこう題した記事を掲載しました。記事によれば、「三越伊勢丹ホールディングスは旗艦店の伊勢丹新宿店の全商品をネット上で接客し販売する。2021年度にも全約100万品目を扱う。」としています。

 

 オンライン接客を担当するのは現場の販売員で、店頭業務と兼務する体制となるそうです(…しかしどんなシフトにするのでしょうか?コロナ禍で時間的余裕ができたとはいえ、現場スタッフの負担が重くなりそうです)。伊勢丹は今月25日からアプリをリリースしており、さっそく私もダウンロードしてみました。まだまだサービス自体がスタート間もないこともあり、使い勝手も何も…と言う感じでしたが、取り組み自体は評価されるべきものだと思います。

 

 利用方法の流れとして、まずお客がアプリのチャット上で好みや予算入力→店舗からおススメが返信→気に入れば購入、さらに詳しい説明を受けたいときはビデオ接客を申し込む…のようになります。アプリではまだサービスが完全には稼働していないため、すべてを試すことはできませんでした。

 

 伊勢丹は徐々にサービスを拡大していくとのことで、販売員は店頭との兼務で50人ほどから始めるそうです。ただ、将来的に全100万品目をネット接客で扱っていくには、さすがに兼務では回せず、ネット接客専門のスタッフが必要になるでしょう。加えて、ネット接客を申し込むスタイルも最初は仕方がないかもしれませんが、買う側からすると手間がかかりすぎて尻込みしてしまいそうです。待つ間に購買意欲も一気に冷めそうです。

 

 リアル店舗では「見て回る」ことが価値の一つです。ブラブラと歩きまわることで、自分が想像もしていない商品との「偶然の出会い」があります。せっかくネット接客を導入するのであれば、そんなリアルの良さも追及していくべきだと私は思います(簡単に言いますが)。

 

 ともあれ、伊勢丹のチャレンジは素晴らしいと思います。上手くいくにしろ、そうでないにしろ、黙って指を咥えていても何も変わりません。健全な危機感が働いているからこそ、変容進化を積極的に受け入れる体制がつくられているのでしょう。

 

 と、持ち上げるのはここまでにして、今後の重要なポイントとして、「百貨店」というビジネスモデルからの脱却は回避できない問題です。ネットに事業をそのまま移すだけではこれまでの単なる延長線上でしかありません。

 

 私に言わせれば、一度百貨店モデルを壊さなければならないと思います。百貨店の強みは「質の高い品揃えと接客」というのはすでに幻想です。百貨店でなくとも買えるモノがほとんどで、接客も他の商業施設とそうレベルは変わりません。

 

 経営者の皆さん、これは百貨店に限ったことではありません。一度ゼロベースでご自身の事業を見直す時間を取りましょう。あなたのビジネスモデルはすでに陳腐化しているかもしれないのですから。

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