
「昨年度の国の税収 過去最高更新 巣ごもり需要などが要因」2021年7月5日、NHK NEWSWEBはこう題した記事を掲載しました。記事によれば「昨年度の国の税収は、去年12月時点の政府の見積もりを5兆円以上上回り、60兆8000億円余りと過去最高を更新しました」としています。
税収が過去最高となったのは、2018年度の60兆3564億円以来の2年ぶりとなります。2018年度以前で見ると、1990年度の60兆1000億円がピークでした。まさにバブル末期と重なる時期です。それからじわじわと下がり続け、リーマンショックの影響を受けた2009年の38兆7000億円で底を打ち、徐々に盛り返して現在に至ります。
税目別では、基幹3税と言われる消費税、所得税、法人税はいずれも前年度から増加しています。消費税は8%から10%の税率アップが通年反映になったことで税収が20兆9714億円と2.6兆円増、所得税は給与、配当税収は減ったものの、株式譲渡税収等が増え19兆1898億円で191億円増、法人税は自動車等製造業やゲーム関連の業績が好調で11兆2346億円と4375億円増になっています。
さて、コロナ禍にも関わらず国の税収が過去最高。皆さんはどんな印象を持たれたでしょうか。少なくとも私はちょっと意外だな…という印象です。マクロで見れば記事のとおりだと思いますが、私が関わる身近な経営者の話から判断すると、どうにも納得しがたい事実です。つまり、数で言えばほとんどの会社がダメージを受けている中、なぜ税収が最高…?と単純に思ってしまいました。
まあ、冷静に考えれば、そもそも日本の企業の7割は赤字と言われています。赤字企業の赤字幅が大きくなっても税収にさほど影響はないでしょう。一方でいわゆる大企業の筆頭であるトヨタ自動車はコロナの影響を受けたものの回復が鮮明になっており、2021年3月期は売上こそ前年比8%減の27兆2145億円でしたが、利益は前年比10%アップの2兆2452億円となっています。ちなみに法人所得税費用は6499億円!計上されています。
法人税等のランキング(2019年)は、先述のトヨタが1位、2位はNTTで5331億円、3位が国際石油開発帝石で3972億円、4位がNTTドコモで3377億円‥となっています。かなり乱暴な計算ですが、ランキング上位50社を合計すると7.6兆円となり、法人税収の大半を占めることがわかります。
つまり、誤解を恐れずに言えば、今回のコロナ禍で中小企業がどれだけダメージを被り、赤字になったとしても法人税収全体で見れば「誤差」にもならないのです。これは何とも言えない無力感に襲われますね…
気を取り直して、今回の国の税収が過去最高になった理由を強引にまとめると、まずは消費税率アップの通年反映で消費税収増、株価上昇による株式譲渡などの金融所得が増え所得税収増、海外経済の回復を追い風にした製造業の業績回復と、巣ごもり需要による関連産業の伸びで法人税収増といった感じになるでしょうか。
ともあれ、コロナ禍の中、意外?にも税収は伸びています。だからといって国の財政状況に余裕はありません。政治家の皆さんには無駄遣いすることなく、信念を持った資源配分をしていただきたいと思います。

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