ニュースの論点No.227 テレワークの行方

 「テレワーク3割届かず 五輪・緊急事態下でも頭打ち」202191日、日経MJはこう題した記事を掲載しました。記事によれば、「東京五輪に合わせた在宅勤務の奨励、4回目の緊急事態宣言にもかかわらず、7~8月のテレワーク実施率は正社員の27.5%にとどまった。昨年4月の初回の宣言下と同水準だった。」としています。

 

 大企業と中小企業の差も広がっています。同記事によれば、「従業員1万人以上の大企業ではテレワーク実施率が45.5%に達しているのに対し、100人未満の中小企業は15.2%。昨年4月よりもその差は広がっている」とのこと。

 

 また、業種別でも差があり、「テレワークの導入が比較的容易な情報通信業はテレワーク率60%、専門・技術サービス業は40.9%」ですが、「現場作業が欠かせない医療・介護・福祉で5.4%、運輸・郵便業で11.1%にとどまった」としています。

 

 さて、この記事を見て皆さんどんな印象を持たれたでしょうか。少なくとも私は、「ま、当たり前でしょうね」という印象しか持てませんでした。新型コロナウイルス(もうどれが新型かわかりませんが)の感染予防対策として、人流抑制を強化するための国による「テレワーク推進」ですが、典型的な手段の目的化になっていると思います。何としてもテレワーク率7割にするために‥という発想ですね。

 

 そもそもテレワークができる企業は、通信環境を整える資金的余裕、さらにはテレワークが可能な仕事であることが必要です(これも当たり前ですが)。何でもかんでもテレワーク!というのは無理があります。この点、一般的に大企業は中小企業より資金的余裕があり、テレワークでも対応できる仕事内容が比較的多いと言え、当然ながらテレワーク実施率は上がりやすくなります。

 

 一方で中小企業はどうか。記事では業種による差にも触れられていましたが、現場だからこそ意味がある飲食・小売・サービスなどは中小企業のオンパレードで、医療・介護・福祉も同様です。また業種の関係なしに、大企業の下請け、孫請けともなれば、より「現場」の仕事になるのは当然の成り行きです。

 

 つまり、大半の中小企業はテレワークにしたいけどできない、ではなく、そもそもテレワークに不向きな、あるいは不可能な規模、業種である場合が多いと思われます。テレワークは魔法の杖でも何でもありません。無理やりテレワークにしても、既存事業の価値を棄損するリスクが高いだけです。

 

 確かにZoomなどのリモートシステムを使った会議や研修、セミナーなどは、遠隔地からも参加しやすく、さらにその他のメリットも多く、今後も一定の利用が見込めると思います。とはいえ、画面越しに話したり、データを送受信したり‥で完結するような仕事は実はそんなに多くないと私は考えています。最終的には誰かが現場で奮闘しているのです。

 

 今回のコロナ騒動が、既存事業の真価を知る上でも「良い機会」だったと言えるように、この人災ともいえる状況を何とか乗り越えていきましょう。ピンチにはチャンスの芽が必ずあります。

 

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