
「最低賃金引き上げ、企業の半数が値上げ対応」2021年9月17日、日本経済新聞はこう題した記事を掲載しました。記事によれば、「採用支援会社のプレシャスパートナーズは、10月に予定されている最低賃金の引き上げについて企業の対応策を聞いたところ、回答企業の52.3%がサービス価格の見直し・値上げで対応すると答えた」としています。
ご存じのとおり、10月から最低賃金が上がります。昨年は新型コロナウイルスの影響が考慮され、各都道府県の引き上げは全国平均で0.1%増でした。しかし、今回はコロナ前の水準と同等の引き上げ幅となり、全国平均で28円アップ、平均額930円で3.1%の上昇率となっています。
最低時給が最も高い東京都では1041円、最も低くても高知県、沖縄県の820円と全国で800円以上となりました。ちなみに地域別最低賃金以上の賃金額を支払わない場合には、最低賃金法に罰則(50万円以下の罰金)が定められています。経営者の皆さんは下記の厚労省URLを各自でチェックし、最低賃金額を下回らないように注意してください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/
さて、コロナ禍で大半の企業は業績が悪化しています。その中での最低賃金引き上げは企業にとってかなりの負担増となります。冒頭の記事に戻りますと、調査結果として、最低賃金引き上げに対して商品やサービス価格の値上げで対応する企業が半数以上となっています。次いで非正規の残業やシフトを削減することが4割弱、採用の抑制が3割強(複数回答可)とのこと。
通常時でも、企業にとって「値上げ」は困難な施策です。現在はコロナ禍中ですので、さらにその壁は高くなります。調査結果は半数以上が値上げを考えているようですが、実務的には非常に難しいのではないかと思います。
つまるところ、値上げよりも先に、人件費の調整をせざるを得ない企業が多くなるのではないでしょうか。業績の悪化とは、ほとんどの場合売上の減少が伴います。売上が下がっている中で値上げの判断ができる経営者はほぼいないでしょう。したがって、手を付けやすい非正規の方々の人件費から見直されることになります。
皮肉にも、最低賃金が上がると、その恩恵を受けるはずの人々が一番に影響を受け、仕事そのものが減る、または職を失う結果となってしまうのです。もちろん、頑張って雇用維持を継続する経営者の方もいらっしゃいます。しかし、コロナ禍のような回避しがたい状況では、背に腹は代えられず、多くの経営者が生き残りをかけた厳しい経営判断をしなければなりません。
私は経営判断に唯一の正解などはないと考えています。私に言わせれば、自分がした判断を正解にするのが経営者です。ただし、その判断には周囲が納得する根拠が必要です。依って立つ根拠はビジョンとお金の両面から提示すべきです。
さて、経営者の皆さん、ご自身や事業のビジョンやお金に関わるプランは立てていますか?それに基づく判断をしていますか? もし、行き当たりばったりで思いつきの経営判断をされている場合は、今からでも遅くありません。経営幹部やパートナーを交えて、自らのビジョン、それを下支えするキャッシュフロー計画を立てましょう。

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