
「伊勢丹新宿店の初売りに6500人の行列 抽選会などの催しが復活」2022年1月2日、FASHIONSNAP.COMはこう題した記事を掲載しました。記事によれば、「開店前から初売りとセール商品を求める客が列をなし、本館とメンズ館合わせて約6500人が並んだ。前年比約195%となり、客数が戻ってきた」としています。
ちなみに伊勢丹新宿店では、店頭で福袋はほとんど取り扱わず、全体の8割、5万6千個をオンラインで販売しています。以前はニュースでもよく流されていた「福袋の取り合い」など今は昔。コロナ禍がこれまでの初売りの姿を一気に変えています。
さて、私はアパレル小売店舗の経営者でもあります。例年2日からの初売りには、スタッフとしてお店に立っていました(最近は任せています)。毎年のことですが、正直あの人の多さにはゲンナリしていました(長年店舗経営をやっているのに人出の多さは超苦手)。
商売としては書き入れ時でもあるため、何とかかんとか頑張っていました。バーゲン狙いの、いわゆる「バーゲンハンター(米国ではチェリーピッカーと呼ぶそうです)」の方もいらっしゃいまして… 大変ありがたいのですが… …詳細は割愛します。
話を戻しますと、出店している百貨店でも、初売り2日に2000名以上が列をなし賑わいを見せました。並んでいる皆さんは基本的に福袋が目当てで、そのほとんどは午前中のうちに完売します。午後からはセール商品を見るお客様が増え、1日中多くのお客様が回遊している状況が続きます。
ただ、例年に比べ在庫が少なく(コロナで売れないから作らない)、お客様が戻っても各店の売上自体はそこまで伸びていない印象です。そもそも過剰かつ不良な在庫を大量に持つメーカーが多かったため、良い意味での在庫調整にはなっているのかもしれません。
ところで、福袋やセール。まあ、普通に考えればお得です。1万円で5万円分も入っていたり、3~5割引の商品も多くあります。しかしながら、近年では福袋用やセール用で作られた商品も増えています。つまり、お得に見えて実際には低価格でも十分に利益が出る商品なのです。要は価格相応の品質。高くはないが安くもない。
それに加え、セール前に「正規の価格(プロパー)」で販売されている商品も、実際はセールを見越して値付けしてある場合も少なくありません。したがって、福袋やセールといっても、一概にお得とは言えないものが増えているので注意が必要です(アウトレット店の商品も同様)。下手をすれば、プロパーで購入すると損失を被る可能性すらあります。
これらの情報はご存じの方も多いと思います。ただ、先述したようにコロナ禍になってムダな在庫は減りつつあります。加えて今はSDGsの流れもあります。アパレル企業だけではなく、これからは「厳選された価値の高い商品」を提供する企業が支持される世の中になります。
経営者の皆さん。これからは安売りをしなくても売れるような商品・サービスを自社のメイン事業にしましょう。そして、そのためには経営幹部やパートナーとの作戦会議(クオリティタイム)が必要です。少なくとも月1回はスケジュールに入れ、狭い視野で独りよがりの経営判断を下さないような仕組みを構築しましょう。

コメント