「売らない百貨店 日本へ 米ショーフィールズ今夏参入」2022年1月17日、日本経済新聞はこう題した記事を掲載しました。記事によれば「米ニューヨーク発の『売らない百貨店』を運営するショーフィールズが今夏にも日本に参入する。店舗では商品の販売を目的とせず来店客に衣料品や化粧品などを試してもらう」としています。
ショーフィールズは2017年創業で、現在ニューヨークなどで3店舗運営しています。1200平方メートル程度の常設店を商業施設や路面店として出店し、出店料および来店データや消費行動の分析結果の提供することで収入を得るビジネスモデルです。
EC商品の体験場として成長しており、同様のビジネスモデルは日本でも丸井、大丸松坂屋などが展開しています。
一般的に、一度利用したことのある商品であれば、何のハードルもなくネット通販で気軽に購入することができます。一方で、見たことも聞いたこともないような初見の商品を、画面上だけで購入判断をするのはなかなかリスクが伴います。特にサイズ、素材の感触、色味、使用感などの感覚が重要視される商品はなおのことです。
ショーフィールズが取り扱うような衣料品や化粧品はその最たるものです。さらに大量生産ではないD2C(ダイレクトトゥコンシューマー。メーカーやブランドが自ら企画製造した商品を、ECサイトを通じて直接消費者に販売するビジネスモデル)ブランドを集めることで、実店舗における新たな価値の創造をしているのでしょう。
今日、買い物をする場や買い方が多様化し、どこで、どうやって買うのかは、人それぞれの好みや習慣がより一層際立つ状況となっています。20年程前は単純にリアルだけだったものが、リアルからネットへ、今ではネットで完結するものも少なくありません。
翻って、人が「買う」と決断するポイントで、個人的に思う大きな要素に「人の意見」があります。販売員はもとより、家族親族や友人知人など近しい人の意見、購入者の意見(レビュー)、専門家の意見… 皆さんも自分一人で決めたと思っていたら、意外と人の意見に左右されていた…ということがあったのではないでしょうか。
何が言いたいのかというと、買い物する時の決め手は、まず現物を知るのは当然として、その体験を「人に話す」あるいは「人から聞く」ことが重要であり、ネットやリアルを問わず、「体験を共有する場の価値」が今後はより一層高くなるということです。
人が買い物をするのには何らかの理由があり、最も大きなモチベーションは「人とのつながり」だと私は思います。どんなに技術が進展したとしても、人が動く源泉は人であり、その核心をブラさなければどんな商売でもうまくいくと私は信じています。
結局は「売らない百貨店」も買い物の手段の一つです。経営者たるもの、その本質を忘れずに、それでも新しいものを否定せずに取り入れながら、さらなる成長を目指していきたいですね。

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