
「『服を売らないアパレル』は何を売るのか?」2022年2月9日、ITmediaビジネスオンラインはこう題した記事を掲載しました。記事によれば「『服を売らないアパレル』と明言するブランドが西武渋谷店でポップアップ『CLOSETtoCLOSET』を開催した。」としています。
どういう仕組みになっているのでしょうか。「事前に3000円の入場チケットを購入する。当日、不要になった服を3着持ち込むと、会場に並んでいる古着の中から好きな3着を持ち帰ることができるという。『服の循環』をテーマとして掲げている」とのこと。
なるほど、非常に面白い発想だと思います。私も長年アパレル業界に関わってきましたが、初めて耳にした仕組みです。古着をただ売るのではなく、入場料を払って、自分が持ってきた古着と交換する。確かに服の循環です。すでに30回以上開催され、1トンほどの服を循環させた計算になるそうです。
最近では「売らない百貨店」など、在庫は持たず店舗では試着や使用体験のみ、購入はネットからというパターンが増えつつあります。この場合、お客様はその場(百貨店)で購入しないだけで、結局ネット等を経由して購入します。あっさり言えば、購入方法が変わるだけです。
今回の店舗は、お金を払って、自分の古着と他人の古着を交換するところに特徴があります。古着屋、リサイクルショップ、買取専門店、フリマ、あるいは古着を持ち込むと割引になるサービスとも違います。簡単そうで、なかなか発想できない仕組みだと思います。
また、近年はSDGsの考え方が浸透し、持続可能な世界をつくるための取り組みが企業の規模を問わず盛んになっています。「服を売らないアパレル」もそんな時流に乗って、賛同する人が多いと思われます。
一方で、ビジネスとして成立するかどうかは微妙です。主催者もこの仕組みで稼ごうとは思っていないのではないでしょうか。私は一種の社会貢献的事業、啓発的な意味が強いと感じました。
とはいえ、現実問題として、未だにアパレル業界は大量生産、大量消費の状態が続いています。2017年時点では、日本だけで年間15億着ほどの余剰在庫(売れ残り)が発生しており、その大半は廃棄されていると考えられます。
今後は、店頭に在庫を積み上げて売る旧来のビジネスモデルから、売らない店舗による受注販売的モデルへの転換が進み、さらに今回の店舗に見られるような、「すでにあるもの」に対する新たな価値を付加する仕組みがどんどん現れるでしょう。
私も店舗ビジネス経営者として、旧来型の仕組みに慣れ切っていました。今後はそれが全く通用しない世の中になる可能性が高く、早めの変容進化が求められていると感じています。
経営者の皆さん。既存のビジネスモデルに執着しすぎるのは非常に危険です。残念ながら、旧来型機種、OSで最新アプリは動かせないのです。まずは新たな考え方を知り、自分を動かすOS(オペレーティングシステム)をアップデートしましょう。

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