
「所得格差が過去最大水準 厚労省」2023年8月22日、Yahoo!ニュースはこう題した記事を掲載しました。2021年の調査結果によれば、所得格差を示す指標「ジニ係数」が悪化し、「格差が過去最大だった2014年と同水準だった」としています。
ジニ係数とは、国の所得や資産が各世帯にどれくらい平等に配分されているかを示す指標です。0~1で表され、1に近づくほど格差が大きくなります。一般的に0.4を超えると社会的不安が起き、0.5以上になると暴動など極端な対立が起きるとされています。
ジニ係数は「当初所得(税・保険を引く前の給与総額のイメージ。わかりやすくするために本文では「給与総額」とします)」「再分配所得(税・保険を引いた給与の手取り額に年金や児童手当等を足したイメージ。同様に「手取り額」とします)」の2種類に分けられ、今回の調査結果では、給与総額のジニ係数は0.57、手取り額では0.3813となっています。
つまり、給与総額の格差は比較的大きい状態ですが、税金や社会保険料の徴収、およびそれらの再分配によって当初の格差はある程度是正されていると言えます。ちなみに、日本のジニ係数は1990年→2021年の約30年で給与総額0.4334→0.57と徐々に格差は広がりつつあります。手取り額では0.3643→0.3813とほぼ横ばいの推移です。
要するに、この30年で給与総額の格差が拡大している中、ある層では徴収される税金や保険料がさらに増え、それらが別の層の年金、各種手当に回されており、その割合が増えているのです。たとえ全体の格差が縮まったとしても、この状態ではいずれの層も不平等を感じているのではないでしょうか。加えて、近年では生活費全般が急激に高騰しており、さらに格差を感じる状況が強まっています。
参考までに、世界各国のジニ係数(2020年)を確認すると、格差が大きい順に、南アフリカ(0.62)、コスタリカ(0.50)、ブラジル(0.48)となっています。一方で格差が小さい国は、データが確認できる範囲で見るとスロバキア(0.22)、スロベニア(0.24)、ベルギー(0.25)、他にも欧州各国が名を連ねています。国や地域によってかなりの差が生まれています。
「格差」についてはさまざまな見解がありますが、いずれの社会でも必ず発生し、それが固定化する傾向があります。
国同士、国内、地方内、居住地域内、グループ内など規模の大小を問わず見られ、摩擦の原因ともなっています。放っておくと格差は拡大する一方となり、ある点まで来ると暴動や戦争、革命のように大きなうねりとなります。
歴史上ではそれが繰り返されてきたわけですが、現代では格差もある一方、数百年前に比べ生活の質は飛躍的に上がっています。日本においては身分制度でガチガチに固めてあることもありません。やりたいことがあれば、基本的に誰でもチャレンジすることが可能です。
結局のところ、「所得の再分配だけ」で格差の是正をするのは不可能です。全体のバランスを取るためには他にもさまざまな政策が立案・実行されるべきでしょう。一方で、個人が何の努力(行動)もせず所得が増えることはありません。自助努力が可能な人は個人で所得を増やす行動が必要です。
この点、私たち経営者は他力本願な考えに偏ることなく、常に主体的に行動して価値を生み、自らが、そして関係する人々が納得できるような所得環境をつくりあげる使命があります。

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