ニュースの論点No.714 セールはするな

 「バーゲンがなくなる日 セールの比率は4年で半減」2024114日、日本経済新聞はこう題した記事を掲載しました。記事によれば、「年初の風物詩ともいえる衣料品セール、今年は例年より少なかったのにお気づきだろうか。売り上げ拡大に『右へならえ』で続いてきたセールが消えつつある」としています。

 

 コロナ禍を経て、消費者のセール離れ、アパレル各社の粗利重視など市場全体が大きく意識変化し、アパレル産業の「負の文化」が徐々に変わりつつあります。

 

 私もアパレル業界にいましたので、近年の「セール前提のものづくり」の罪深さを痛感していました。セール在庫も常に半端ない量があり、売れ残ってもシーズンが変われば次々と生産する。セール前提なので高い値付けが常態化し、価格が価値に見合わなくなってきていました。

 

 コロナ前からこんな状況が続き、消費者は完全に置き去りにされています。22年の国内の衣料品供給量は約37億点で、需要1213億点の約3倍の衣料品がつくられているのです。つまり3分の220億点以上)は余ってしまう。

 

 余った衣料品はセールやアウトレット店、バッタ屋(在庫処分業者)への転売、焼却処分などになりますが、誰がどう考えてもつくり過ぎです。過剰生産。30年以上は同様の状況が続いていたといってもいいでしょう。

 

 この点、コロナ禍はアパレル業界に良い影響を与えました。ショック療法ではありましたが、余るほどつくれないのでセールにする必要もない。定価で売れれば粗利率も上がります。平均的な単価の衣料品については、徐々に世の中の適正量に近づいていくでしょう。

 

 一方で、ファストファッションと呼ばれるカテゴリーでは大量生産が続いています。これらが供給量を増やしている最大の要因で、中国など海外のメーカーでは「安かろう悪かろう」がまだまだ拡大しています。

 

 「安いもの」を求める層はいつの時代でも多数を占め、近年の物価高でさらにその傾向が高まっている状況です。セールは消えつつあるのかもしれませんが、もともと安い衣料品は相当数あり、彼らはそのビジネスモデルから「過剰在庫」が運命づけられています。

 

 ニーズに任せすぎると、市場は時にいびつな形になります。安価な衣料品を否定はしませんが、肯定できるような「ものづくり」とは言えません。

 

 経営者の皆さん。中小企業は付加価値の高さで勝負するほかありません。過剰在庫や値引き販売は必ず経営に負の影響を与えます。私たちは適正量を適正価格で提供できるビジネスモデルを目指していきましょう。

    今週の経営コラムを無料でお届け 無料メールマガジン登録はこちら
    よかったらシェアしてね!
    • URLをコピーしました!

    コメント

    コメントする

    目次