
「ホテルの「食べ放題・ビュッフェ」が叩き出す利益率が驚異的…客が損してるってこと?」2025年8月11日、Yahoo!JAPANニュースはこう題した記事を掲載しました。
物価高騰が続く中でも、ホテルやレストランの食べ放題・ビュッフェは高い人気を保っています。記事によれば、「食べ放題・バイキング・ビュッフェスタイル」を好む人は約8割に達し、休日や夏休みなどはまさに稼ぎ時です。
一見すると客にとってお得に見えるこの仕組みですが、その裏側には緻密な収益設計と人間の行動特性を踏まえた戦略があります。
ホテル・ビュッフェが高い利益率を誇る第一の理由は、規模の強みを活かした仕入れです。シーズンやテーマごとにメニューを事前に決定し、購買部を通じて大量仕入れを行うことで安定供給と単価低減を実現しています。
さらに、原価の高い食材は豆皿や小皿に盛って提供量を抑え、原価の安いパスタや揚げ物は客が自然に手を伸ばす位置に置くなど、動線設計にも工夫があります。
定額制のため客単価が読みやすく、90〜120分の制限時間で回転率を高め、セルフサービスによって人件費も抑制しています。
記事では、原価率は40%前後、人件費率は20〜25%に収まり、賃料や光熱費を含めても営業利益率は10%以上と、一般飲食店より高水準であることが示されています。
この収益構造を支えているのが、行動経済学に基づく心理効果です。まずフレーミング効果。ホテルは「豪華ディナーブッフェ」や「季節限定フェア」、「シェフ特製」といった言葉で同じ料理をより高級に感じさせ、価格に対する納得感を高めます。
希少性効果も有効です。「○時から数量限定」「1人1皿まで」という条件は、「今取らないと損」という心理を引き出し、行動を促します。
サンクコスト効果も見逃せません。高額の料金を支払ったお客様は「元を取らなければ」という気持ちから多く食べようとします。動線や盛り付けの工夫と組み合わせることで低原価メニューの摂取量を増やし、高原価食材の消費を抑える仕組みが成立します。これにより、満足感を損なわずに原価を抑えることが可能になります。
さらに単位バイアスも巧みに活用されています。高価な料理は小皿で提供し「一皿食べた」という満足感を与え、低原価料理は大皿で盛り付けて満腹までのスピードを早めます。
ホテル・ビュッフェの高収益モデルは、効率的な仕入れやオペレーションの工夫に加え、フレーミング効果、希少性効果、サンクコスト効果、単位バイアスといった心理的仕掛けの組み合わせによって完成しています。
これらの効果は、飲食業に限らず、小売やサービス業にも応用できます。お客様に価値を感じてもらいながら、自社の利益を守る仕組みを構築するために、こうした行動経済学の知見を取り入れてみてはいかがでしょうか。

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