
変化の大きい時代になるほど、人は未来を“確実にしたい”と願い、つい予測に頼ろうとします。数字をそろえ、環境を読み、専門家の意見に耳を傾けながら、少しでも見通しを得ようとする。
しかし実際の未来は予測どおりには動きません。専門家の予測ですら、サルがダーツを投げる方が当たるという話が象徴的です。AIを使って市場を読み、自社の数字を精緻にいじったとしても、計算どおりに進むとは限りません。
経営者の役割は、未来を当てることではなく、未来をつくることです。まだ見えていない将来を、自らの意思で形づくっていくことこそ、経営の核心だと感じています。
その出発点が目標です。目標とは数字の設定ではなく、「ここを目指す」という意思の表明であり、自分の手で未来を切り開く「宣言」です。目標を掲げ、その実現に向けて歩むことが、ありたい姿に近づく確かな道筋になります。
目標には二つの種類があります。売上や利益といった成果目標。そして、その成果を生むための行動目標です。多くの企業には成果目標は存在しますが、そこに至る行動目標が不明瞭であることが少なくありません。
また、人間には厄介な特徴があります。目標を設定した瞬間、脳が“快”を感じてしまうという点です。達成をイメージしただけでドーパミンが分泌され、あたかも一歩前に進んだような感覚が生まれる。これが「立てただけで満足してしまう」状態をつくります。
だからこそ、行動目標と進捗確認が欠かせません。行動を振り返る場を継続的に持つことで、取り組みは修正され、積み重なり、前へ進みます。
そして、行動の源泉は「やる気」ではありません。やる気を待っていても動き始めるタイミングはいつになるかわからない。熱意だけでも長続きもしません。大切なのは、やる気の有無にかかわらず、まず「小さな行動を起こすこと」です。
行動を始めれば、脳はすぐに活性化します。これが「作業興奮」と呼ばれる状態です。数秒から数分、ほんの少し作業に取りかかるだけで前頭前野が動き始め、集中が高まっていきます。5分ほど続ければ安定し、10〜15分経つころには没入状態に入りやすくなります。
つまり、気持ちが行動をつくるのではなく、行動が気持ちをつくる。小さな着手が、次の行動を呼び込み、未来を形づくる流れを生みます。
未来は、予測や分析の結果がそのまま現れるものではありません。
未来を変えるのは、今日のあなたの行動です。
成果目標を掲げ、行動目標を定め、小さな一歩を踏み出し、進捗を確かめながら積み重ねていくことで、望む未来が姿を現していきます。
皆さんの新しい一年が、最初の一歩を踏み出す年になることを願っています。

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