
「マスク生活で笑顔忘れた?『笑顔作り方』講座 参加者急増」2023年5月9日、テレ朝newsはこう題した記事を掲載しました。記事によれば、「新型コロナウイルスの感染法上の位置付けが、8日から季節性インフルエンザと同じ『5類』に引き下げられました。そんななか、笑顔の作り方を学ぶセミナーが人気を集めています」とのこと。
トレーナーのもとにはこれまでの4.5倍の依頼があるそうで、脱マスクを見据えた「リハビリ的需要」が伸びているのでしょう。確かに、マスク生活に慣れていると自分の表情が相手に見えないので無表情になりがちです。いざマスクを取ってコミュニケーションをしても、何だかぎこちない笑顔になってしまう人も多そうです。
さすがに笑顔を忘れる人はいないかもしれませんが、人は使わない部分の機能が確実に衰えていきます。何もしなければ、表情をはじめコロナ前とはまったくの「別人」に顔の印象が変わっているかもしれません。
店舗ビジネスの現場でもマスク着用が任意になりつつあります。接客応対が必要な仕事では「笑顔」は商品の一つでもあります。マスクを外した後は相手にダイレクトに感情が伝わるため、プロとしてはある程度の「表情のリハビリ」が必要になってくるでしょう。
店舗ビジネスでは、スタッフの「感じの良さ」が店舗の業績を左右します。「感じの良さ」の最たるものが「笑顔」です。誰もぶすっとした顔のスタッフから接客を受けたいとは思わないでしょう。「笑顔」は最高の付加価値になりえます。
ところで、「笑う」には、大きく分けて「笑い声をともなうラフ(laugh)」と,「声を出さずにほほ笑む表情であるスマイル(smile)」があり、それぞれの起源は異なると考えられています。今回取り上げている笑顔での笑いは後者の方で、いわゆる感じの良さが出ます。
チンパンジーもこの二つを使い分けているそうです。オランダのファンホーフによれば、「ラフ」は遊んでいるサルが口を丸く開けて口角を少し後方に引く表情、「スマイル」は劣位なサルが優位なサルに対して、上下の歯を合わせて口角を後方に引き歯列を露出させる表情で、それぞれがラフとスマイルの起源とされています(参考:進化でわかる人間行動の事典 朝倉書店)。
つまり「スマイル」の起源は、劣位であること(敵意がない)ことを示す表情です。オスは縄張り争いなどで簡単に劣位を見せられません。現在の男性(特に私を含めたオジサン群)の大半が笑顔をつくるのが苦手なのは、ここに由来がありそうです。
ですが、今の人間社会では笑顔を見せたからといって「劣位」になるわけではありません。むしろいい印象を持たれ、優位なポジションをとりやすいでしょう。ちなみに冒頭の講座には比較的女性が多いようですが、本当に笑顔づくりのトレーニングが必要なのは私を含めたオジサンたちかも…。心当たりのある方は、この機会にぜひ笑顔づくりを見直してみてはいかがでしょうか。

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