
仕事柄さまざまな経営者にお会いしますが、成長する会社を引っ張る経営者の共通点の一つに、「ルールをハックする」ことが挙げられます。これは法律違反や人を欺くようなことではなく、ルールを“賢く”“柔軟に”活用する術の事です。
法律をはじめ、各種制度や規制、取引上の決まり事など、世の中にはおびただしい量のルールがあります。ただし、実社会において、そのルールがすべて厳密に守られているわけではありません。
皆さんもご存じかと思いますが、結構な「抜け穴」や、「裏をかく方法」が使われています。むしろルールに則りすぎると、がんじがらめで何もできないまま終わってしまうことにもなりかねません。
この点、「正直者が馬鹿を見る」状況も当然起こり得ます。真面目過ぎると損をするのはいささか納得ができない反面、したたかな面もなければ、世の中をうまく渡っていけないのは一つの真理です。
一方、行政組織においてはその成り立ちもあって、ルールは厳密に守られていると思われがちです。表面上は超厳密に守られているように見えますが、私の知る限り、ルールを守るために現実を捻じ曲げるパターンが多いと思います。
つまりは一事が万事「ルール通り、やったことにしておいて」という感じです。結局、最初に作ったルールが現実的ではないものが多く、そのしわ寄せが現場にすべて回ってくる形です。
いずれにしても、世の中の「ルール」は一つの基準とはなり得ていますが、その中だけでは物事が進まないため、上下前後左右に“常識的に”はみ出すことが日常的に行われているのです。
さて、話は若干脱線しますが、日本人は既存のルールを守りながら、細かく改善していくのが得意だと言われています。一方の欧米諸国は、自身が有利になるようにルール自体を一気に変えることも日常茶飯事です(スキージャンプなどスポーツでもよく見かけます)。
先述のように、日本人は経営者でも行政組織でも、ハックするも現実を曲げるも、ルールありきで行動し、欧米人はルールづくりに重きを置く。この相反する事実に良し悪しはないと思いますが、両者の違いはなかなか大きいような気がします。
話を戻します。要するにルールは絶対的な基準ではないということです。もちろん軽んじてはいけませんが、ルール自体が間違っている、あるいは時代に合わなくなってきていることもあります。
違法行為は論外として、自分自身が目指すべき姿を実現するためにルールとどう向き合うか。あえてハックすることが必要な時もあるでしょう。タイミングによっては、ルール自体を変えるロビー活動をしなければならないかもしれません。
最も避けるべきは、「決まりだから」と思考停止に陥ることです。自分の頭で考え、リスクを取るべき時は覚悟を持って火中の栗を拾う。成長する経営者はこの点で「清濁併せ呑む」決断も厭わないのだと思います。
ルールを守るのは目的ではなく手段です。手段の目的化にならないよう。常に自分の頭で考え、長期的視野を持ち行動していきましょう。

コメント