コラムNo.647 言わないとわからない

 ある地域の伝統工芸品を制作される事業者さんを支援しています。地元では非常に長く親しまれているのですが、想像以上に厳しい状況です。ほぼ一人で事業活動をされていますので当然限界はあります。しかしながら、もっと支持されてもおかしくはないと個人的には感じています。

 

 私が全力で支援を行うのは当然ですが、一方で伝統工芸品などの「こだわりの品」を提供する事業者さんに共通する課題があります。それは、「価値を伝えきれていない」ことです。

 

 伝統工芸品ですから、大半が日常的に使うものではありません。その価値を知らなければ、ともすると「不便で高いムダなモノ」と認識され、特に若年層からの支持は得られにくいでしょう。

 

 この点、制作する作品にはどんな「価値」があるのか。例えば、どんな歴史があり、どんなこだわりを持ち、どんな材料を使い、どんな製造方法で、どんな使い勝手で、どんな経年変化が楽しめるのか。どれくらいの希少性があり、著名人では誰から愛用されている(いた)のか。骨董的価値はどれくらいあるのか。これらを明確に伝えなければどんどん先細っていくだけです。

 

 誤解を恐れずに言えば、伝統工芸品に利便性や機能性はほとんど求められていません。連綿と続くその地域の「歴史や文化」が凝縮されたモノとしての価値が大きいと私は考えています。

 

 職人と呼ばれる人たちは、毎日黙々と技術を磨き、良い作品をつくることに全力を傾けておられます。一方で、大半の人は作品の価値を伝えるのが苦手です。ですが、残念ながら「言わなくてもわかる人」は世の中にほとんど存在しないのです。

 

 下手をすると、苦労して完成した「会心の出来栄えの逸品」が単なる自己満足になる可能性があるのです。これは伝統工芸品だけではなく、飲食店のシェフ、その他ものづくりやデザインなどクリエイティブに関わる人にはすべて当てはまることです。

 

 つまり、何も言わなければ自ら価値を棄損してしまうのと同義なのです。これでは、せっかく世の中に生まれてきた作品もかわいそうです。

 

 経営者の皆さん。提供する商品やサービスの価値をわかりやすく言語化しましょう。特に、あなたが普段当たり前と思ってやっていることは、相手にとって相当な付加価値を提供している可能性が高いでしょう。

 

 相手に伝わる言葉で、生まれてきた商品の付加価値を可視化しましょう。徐々に新たな伝道者(ファン)が増え、一気に世界が広がっていきます。

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