
「“日本最速記録”フランチャイズ『とろり天使のわらびもち』が店舗数激減」2023年5月21日、文春オンラインはこう題した記事を掲載しました。記事によれば、「全国にチェーン展開する和風スイーツの専門店『とろり天使のわらびもち』の店舗が立て続けに閉店していることが『週刊文春』の取材で分かった」としています。
とろり天使のわらびもちは2020年8月に第1号店が開店。それから1年10カ月で100店舗に拡大し、外食チェーン最速記録を更新。現在は144(直営27、FC117)店舗展開しています。
商品は「とろとろ生わらびもち」がメインで、小箱650円、大箱1200円で提供されています。他にもクリームわらびもち450円~、飲むわらびもち730円等がラインナップ。
フランチャイズWEBリポートによれば、とろり天使のわらびもちを出店する初期費用としてFC加盟金330万、内外装費176万、その他開業費181万の計687万と試算されています。また、本部に支払うロイヤリティは月間売上の5%、システム管理費が月額8万円となっています。
月間収支モデルは2パターンで予測されており、一つ目は売上840万、原価294万、人件費168万、その他経費100万、営業利益278万。
二つ目は売上365万、原価127万、人件費73万、その他経費100万、営業利益65万と算出されています(千円未満切り捨て)。
いずれにしても、まずまず「儲かる」印象です。さらに深堀りしてみましょう。客単価をざっくり1500円、月間営業日数25日、9時間営業と仮定すれば、月間売上365万の場合で1日当たり客数97名。1時間あたり10名程度が購入する計算となります。
ここまではあくまで試算です。実際は記事にもあるように上手くいっていない店舗が増えています。まさに「捕らぬ狸の皮算用」によって、ウチも同じように儲かる!と勘違いをしてしまったオーナーたちが“想定外”の痛い目にあっているのです。
とはいえ、この「フランチャイズ狂騒曲」ともいえる状況は何十年も続けられています。楽に儲けたいという「フランチャイザー」と「フランチャイジー」の目的が合致し、何も考えずに出店を繰り返す。一時期は勢いがあるものの、すぐに飽和し市場が消滅するパターンが幾度となく繰り返されています。
直近だと高級食パンやフルーツ大福、少し前だとステーキやタピオカなど、実例を挙げれば枚挙に暇がありません。なぜ同じことが繰り返されるのか。複合的な要因があると考えられますが、一番は先に挙げた「楽に儲けたい」があるでしょう。自分は何も考えず、実績があるビジネスが始められる。それに加えてフランチャイザー側も“早い者勝ち”だと煽る。
流行っていれば、なおさら早く勝馬に乗りたいと焦り、後先考えず我も我もと殺到する。結果、似たような業態が爆増し一気に飽和点を迎える。これはフランチャイズだけではない、世の中のあらゆる業界の縮図と言えるでしょう。
「安易に始めない」のが対策の一つですが、すでに始めてしまっている場合は「だらだらと続けない」ことが最も重要なポイントです。そもそも、事業を始める際は「撤退基準」を決めておくべきです。
一度悪化した業績を戻すのは容易ではなく、ほとんどの場合さらに悪化していきます。始める決断よりも、やめる決断の方が何倍も難しい。この点、撤退基準を決めておけばトップの負担は軽減し、感情に左右されることが少なくなります。
経営者の皆さん。何かを始める時は必ず「やめる」こともセットで考えておきましょう。人間は誰でも現状維持を好みます。一旦始めたことをやめるのは相当なエネルギーが必要なのです。「後にするけんかを先にしておく」のは何事においても有用な考え方の一つです。

コメント