コラムNo.679 価値を形に

 最近、会食の機会が増えています。そして会食中、店舗のサービスに対して「もったいないな…」と思う場面も増えています。

 

その中の一番は“料理を黙って置いていく”ことです。もちろん、「お待たせしました」や「端的な商品名」くらいは言ってくれます。ただ、本当はもっと価値があるにもかかわらず、それ以上の説明がないことが非常にもったいない。

 

 安価なチェーン店では必要ないかもしれません。しかしながら、中小企業が営む多くの店舗で「価値をもれなく伝える」ことは“絶対にやらなければならないこと”なのです。

 

 翻って、あなたが提供する商品の価値は、あなた自身が言語化し、あなた自身が伝えなければ誰もわかってくれません。これは私も痛感していることですが、自分が思っている以上に相手は私たちのことも、商品のことも知りません。仕事だけではなくプライベートでも同様です。

 

 長年付き合っている経営者や友人知人でさえ、「そこまでやってたんだ!」「そんなに手間がかかってんの?」という場面に多く出くわします。つまり言わなきゃわからない。そして伝わらなければ誰も興味を持ってくれない。適正価格でも高いと言って買ってくれない。むしろ「知り合いだから安くして」などと言われてしまう。

 

 「価値」は伝える努力をしなければ絶対に伝わりません。「言わなくてもわかる」は提供する側の傲慢です。「こんなに良い材料を使い、こんなに手間のかかる加工をし、こんなに高い機能を持つ商品なのだから、顧客は何も言わなくてもわかってくれる」。

 

 特に職人気質の経営者には多いのですが、そもそも言葉にするのが苦手。言うのもこっぱずかしい。一度使えばわかる。一度食べればわかる。自分から言うと安っぽくなる。言わなきゃわからないやつは来なくていい…。

 

 本人がそれでいいなら何も言いませんが、売上が芳しくない、経営危機に瀕しているような会社がそれでは悪くなる一方です。相手に「価値ある正しい情報」を伝える努力をするだけで、売上は簡単に上がります。

 

 ちなみに先日の会食はコース料理で、料理が前菜から順番に運ばれてきます。HPなどにちょっとした説明は書いてありましたが(だからそのコースを頼んだ)、お客はその場でいちいち見て確認することはありません。

 

 その時はスタッフの方が淡々と料理を運び、「お刺身です」「焼き物です」と言いながら、作業的に渡されていました。忙しかったのかもしれませんし、さまざまな理由があったことと思います。

 

 ただ、価値ある情報を知っていて食べるのと、知らないで食べるのではまさに雲泥の差が出ます。その商品の価値を知れば、美味しさは倍になり、会話が弾み、さらに場が盛り上がる。

 

 例えば、「本日入荷した○○産の○○の希少な部位を使って、○○という独自の方法で時間をかけて調理しました」「身がプリプリしていて本当に美味しいですよ」「味はお好みで○○をつけてお召し上がりください」これくらいでも価値は上がります。時間にすれば長くても数十秒でしょうか。

 

 盛り上がった会食は記憶に残り、記憶に残ればリピートにつながります。リピートが増えれば必然的に売上は上がり、高い位置で安定する。価値を伝えることに「マイナス効果」はありません。つまり、やらなきゃ損。

 

 一方、厳しい言い方になりますが、価値を伝えないのはほとんどの場合「怠慢」です。忙しくて伝える時間がないなら、できる方法を考える。できない理由は挙げればキリがありません。

 

 経営者の皆さん。あなたが提供する商品・サービスの本当の価値をお客様に伝えていますか。ちょっと自信がないな…という方は、自分自身が「こだわっていること」を言葉にしてみましょう。そこから徐々に発想が広がっていきます。

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