
「食べ放題の『残してしまう』問題、どう解決? 『しゃぶ葉』が始めたユニークな方法」2024年5月21日、ITmediaビジネスONLINEはこう題した記事を掲載しました。
記事によれば、「利用客がきれいに食べ終わったテーブルの写真を撮影し、会計時にスタッフに提示するとドリンクバー110円券を提示する仕組みだ」としています。
「こまめどりPROJECT」と名付けられた新たな施策ですが、残したらペナルティという罰則的なやり方よりも、人が動きやすい仕組みだと言えます。
罰則はほとんどの場合、うまく機能しません。これまでの心理学の研究から、不適切な行動に罰を与えるという方法では、行動の改善はそれほど期待できないことが明らかになっている。
今回と状況は異なる事例ですが、ある託児所で子供を迎えに来る母親が遅れてくるというケースが相次ぎ、1時間遅れるごとに罰金を取ることにした結果、逆に遅刻をする人が増えてしまいました。
これは罰金があることで「開き直る」ことが可能になり、お金を払えばルールを破っても構わないという状況がつくられたからと言われています。
他方、上記とは別の視点で、行動経済学で扱われる「ナッジ」の活用が挙げられます。ナッジ(nudge、軽く肘でつつく)とは、相手が無意識のうちに「そっと後押し」して行動を促す理論といえます。
ナッジは「EAST」と呼ばれる以下の4つの要素から成り立っています。
1.Easy(簡単・簡潔)手間を省き行動の難易度を下げる
2.Attractive(魅力的・印象的)魅力的でインパクトのある選択肢を用意する
3.Social(社会性)「人と同じように行動させる」ように導く
4.Timely(タイムリー)適切なタイミングで伝え行動を促す
ライスの食べ残しが多かったある店舗では、ライス量を選択性にし、メニュー表にシールを貼り付けてライス量の目安が分かるようにしたところ、食べ残し量は明らかに減ったそうです。
Googleでは、社員食堂で従来より小さい皿を使ったところ、食べ残しが最大7割削減。また、イリノイ大学の研究結果によれば、丸皿からより表面積の小さい楕円形の皿に変えることで、丸皿では15.8%だった食べ残しの廃棄量が、楕円皿では11.8%に減少したとしています。
日常的な場面では、「罰則」は極力使わないほうがいいかもしれません。報酬や罰則は人の感情にアプローチするものですが、ネガティブな感情に働きかけてもあまりいいことはなさそうです。
それよりも報酬、あるいは「ナッジ」で無意識に働きかけ、より良い方向に促した方が望ましい結果につながる可能性が高いでしょう(悪用は厳禁ですが)。
皆さんの周りではどうでしょうか。さまざまな報酬や罰則規定があると思いますが、上手く機能しているでしょうか。
一方、ナッジは身近なところで多く使われています。ぜひ周りで探してみてください。思わぬ発見があるかもしれません。

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