コラムNo.749 雑に扱われても満足できる店

 つい先日、新宿にある某百貨店に視察(兼買い物)に行ってきました。日本でもトップクラスの売上規模を誇る、誰もが知る有名百貨店です。私は仕事柄店舗視察も頻繁に行っていますが、今回の百貨店はかなり久しぶりの訪問となりました。

 

 店内に入ると、まさに最先端を走るテナントや商品構成。どのお店にも海外客をはじめとした相当数のお客様が入店しています。地方の百貨店にはない賑わいに改めて驚きを感じました。

 

 と、その中の一角にひときわ長い行列ができています。人気ブランドのポップアップショップでもあるのかとワクワクしながら行列の先頭を確認すると、  …免税カウンターでした。

 

 気を取り直して上階から店舗を確認していくと、催事場で紳士服セールをやっているようです。会場ではラックや棚ごとにスタッフが配置され、ほぼ全員に声を掛けられます。まあよくある光景ですが、普通に買い物はしづらい環境です。この点では旧態依然とした百貨店文化を感じます。

 

 下の階に下りてさまざまなお店を見てみると、そこで気づいたことがありました。待機しているスタッフのほぼ全員がスマホを見ているのです。しかも、チラチラとではなくガッツリ画面に食いついています。在庫の確認でもしているのかと思いましたが、状況的にはそうでもない様子。

 

 私たちが目の前を通っても気がつかないくらいです。スマホが支給か自前かは不明ですが、業務に関連する何かを確認しているのでしょう。とはいえ、見ていてあまりいいイメージはありませんでした。

 

 色々と見て回るうちに、あるお店で気になる商品があったので、接客を受けながら試着しました。最終的に2店舗で購入しましたが、何かちょっと違和感的なものが残ります。あっさり言えば接客応対のレベルが明らかに下がっている。

 

 百貨店を出た後、今度は昭和の風情を残す横丁に言ってみました。いわゆるB級グルメが名を連ね、雑多でお世辞にもきれいな環境ではありませんが、何とも言えない雰囲気があります。せっかくなので2店舗で食事を楽しみ、昭和感を堪能しました。

 

 さて、今回「時代の最先端を誇る百貨店」と「昭和の風情を残す横丁」というある意味「両極端」な場所に行ったことで、日常では味わえないさまざまな気づきが生まれました。

 

 最も感じたのは「期待値」と「満足度」の関係性です。これはセミナーやコラムでも何回となく触れていることですが、改めて自分自身の実体験から強く感じました。

 

 私の場合、今回の百貨店に対する満足度はイマイチで、横丁の満足度はまずまず。要するに自分の期待値と現実のギャップが百貨店ではマイナスに大きく振れてしまった。見方を変えれば、百貨店の期待値が高すぎた。

 

 客観的には百貨店の環境や接客のほうが横丁よりも快適かもしれません。しかしながら、主観的な満足度は横丁のほうが高くなった。ここに「期待値」の重要性が如実に表れています。

 

 お客を誘引するためにはある程度「高い期待値」を持ってもらわなければならない。しかしそれが行き過ぎると「満足度」が下がり、結果的に良い印象が残らない。つまり「不満」になります。その最も大きな代償は「リピート率」が下がることです。

 

 これはあらゆる商売で致命的な代償です。しかもお客の大半はその「不満」を口にしません。だまって来なくなるだけです。店側に理由はわからないまま。

 

 期待値と現実のギャップがマイナスになる、つまりお客にとっての損失はプラスの場合よりも23倍重く感じられます(プロスペクト理論)。少しのマイナスがお客にとっては大きく感じ、より悪い印象になってしまうのです。

 

 経営者の皆さん。必要以上に期待値を煽るのはやめましょう。最近は特にウェブ上の広告で極端に煽るものが増えています。常に事実に基づいた価値を発信し、「期待値のコントロール」を心がけるようにしてください。

 

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