ニュースの論点No.774 クレームがカスハラになる前に

 「高島屋やローソン カスハラ対策強化 場合により来店拒否も」202489日、NHK NEWS WEBはこう題した記事を掲載しました。

 

 記事によれば、大手デパートの高島屋は「従業員への合理的な範囲を超える対応の強要や長時間の拘束、人格の否定や土下座の要求などをカスハラとし、場合によっては対応を打ち切りその後の来店を拒否するほか、さらに悪質と判断した場合は、警察や弁護士に連絡する」とのこと。

 

 ローソンは今年6月に名札の表記を任意とし、エア・ドゥはグランドスタッフの名札を廃止、佐川急便はトラックの名札を廃止、また昨年の話ですが、タクシー、バス運転手の名札提示義務の廃止がなされています。

 

 UAゼンセンの調査によれば、サービス業での主なカスハラは「暴言」「威嚇・脅迫」「同じクレーム」「長時間拘束」「セクハラ行為」「金品の要求」「土下座の強要」の順で多い結果が出ています。言葉だけみていると“反社”としか言えない行為のように感じます。

 

 カスハラをする年代は5060代、特に男性が多いとの調査結果もあります。カスハラは近年増加傾向にあるとされていますが、その実態は不明確な部分も多く残されています。

 

 私はアパレル小売業に携わっていましたので、お客様からの「クレーム」は日常茶飯事ともいえる状況でした。商品に対するものがほとんどだったと認識していますが、そこまで無茶苦茶なことを言ってくるお客様はいなかったと思います。

 

 人口構成が大きく変わったこともあり、「カスハラ」が増えたのかもしれません。あるいはこれまで見えていなかったことが可視化された。昔は通用していたことが今はNGになってしまった‥。様々な理由から、「カスハラ」認定される案件が増えているのでしょう。

 

 「クレーム」は対応次第でその後「お得意様」になる事例が多々あります。私自身も経験していますので、クレーム対応の重要性は痛いほどわかっているつもりです。

 

 一方、「カスハラ」に関して、程度問題はあるかもしれませんが、基本的に「お得意様」にはなり得ません。悪意のある相手に対して誠意のある対応は通じず、むしろ誠意を悪用されてますます増長し、状況が悪化する恐れがあります。

 

 最近は至る所に防犯カメラが設置され、車にはドライブレコーダー、個人はスマホを持っています。つまり結構な確率で私たちの行動は記録されている。皆知っているはずです。そんな中でもカスハラをしてしまう。そこまでスタッフの対応が酷いのか、それとも我慢できなくなっているのか。

 

 いずれにしても、社会の許容範囲が狭くなっているのは確実です。「生きづらさ」を感じている人も少なくないでしょう。私も含め、「こうあるべき」という凝り固まった考え方を見直す時機だと思います。

 

 「昔は大丈夫だった」も同様です。常にアップデートしておかないと、正当なクレームのつもりがカスハラ認定され、自ら身を滅ぼすことにもなりかねません。自分の中の「当たり前のサービス」を更新していきましょう。

    今週の経営コラムを無料でお届け 無料メールマガジン登録はこちら
    よかったらシェアしてね!
    • URLをコピーしました!

    コメント

    コメントする

    目次