
「『管理職になりたい』最低17%、業務量増加や責任の重さ警戒、パーソル総研調査」2024年11月20日、日経MJはこう題した記事を掲載しました。
管理職を目指す人が減少している現実は、多くの企業にとって深刻な課題です。「現在の会社で管理職になりたい」と回答した非管理職は17.2%。パーソル総合研究所の調査で過去最低のこの数字は、管理職という役割が多くの人にとって魅力的でないことを如実に示しています。
背景には、責任の重さや業務量の増加、待遇への不満がある一方、特にZ世代の価値観の変化が大きな要因として挙げられます。
彼らは昇進や高給といった従来の成功モデルよりも、自己成長やスキルの習得を重視しています。変化の激しい時代を生き抜くために、「自分を守るのは自分の能力しかない」という認識が根底にあるのです。
こうした中で、管理職が「負担の多い役割」として避けられている現状は、組織全体にとっても大きなリスクです。管理職は本来、組織の未来を担う重要な役割です。その価値を取り戻すためには、管理職の定義そのものを見直す必要があります。
いま求められているのは、従来の指示型リーダーではなく、「部下の成長を支援し、共に成果を創出する伴走者」としての管理職像です。部下にとって管理職が「憧れの存在」であることが、次世代のリーダーを育て、組織全体の活力を高める鍵となります。
この変化を実現するためのヒントは、グーグルの「プロジェクト・オキシジェン」にあります。この研究は、「管理職の行動がチームパフォーマンスにどう影響するか」を明らかにしたものです。
結果、管理職が部下を信頼し、成長を支援する姿勢を取ることで、チームの士気が向上し、成果が大きく改善することが示されました。
具体的には、目標達成の指示だけでなく、部下が成功体験を積み重ねるためのサポートを行うことで、メンバー全体が「やればできる」という自信を持つようになり、結果的に大きな成果を生み出すというものです。
心理学の観点から見ても、このアプローチは理にかなっています。アルバート・バンデューラの提唱した「自己効力感」の理論では、人が「自分にはできる」と感じることで、困難な課題にも前向きに挑戦する意欲が湧くとされています。
管理職が共感や信頼を示し、部下の成功を後押しすることで、部下の自己効力感が高まり、結果としてチーム全体のパフォーマンスが向上するのです。Z世代は特に共感や信頼を重視するため、こうした支援型の管理職像は彼らにとって大きなモチベーションとなります。
しかし、こうした変革を実現するためには、管理職がその役割を全うできる環境を整える必要があります。多くの管理職が現場業務とマネジメント業務の板挟みに苦しむ「プレイングマネジャー」の状態では、部下の成長に注力する余裕を持てません。
業務の適切な分担と、管理職が育成やチームビルディングに専念できる仕組みを整えることが急務です。また、報酬や評価制度の見直しも必要です。管理職が責任と成果に見合う待遇を得られなければ、優秀な人材がその役割を避けるのは当然の帰結です。
ここで改めて問いかけたいのは、「あなたの会社の管理職はどのように見られていますか?」ということです。部下にとって管理職は「自分も挑戦したい」と思える存在でしょうか。それとも「負担が多く避けたい役割」になっていないでしょうか。管理職が目指すべき憧れのポジションであることは、組織の未来を切り拓く上で欠かせない要素です。
管理職は「重責」ではなく「やりがい」の象徴であるべきです。次世代のリーダーが挑戦したいと感じる管理職像を実現することで、組織全体の活力が高まり、持続的な成長が可能になります。いまこそ管理職の役割を再定義し、次世代を育てる仕組みを構築するべき時です。それが、あなたの会社の未来を切り拓く最も確実な一歩となるはずです。

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