コラムNo.905 孤独のグルメ気分で

私は仕事柄クライアント先に伺う機会が多く、さまざまな地域へ足を運びます。訪問がお昼時と重なると、まるで「孤独のグルメ」の主人公のような気分でランチができる店を探すのが密かな楽しみです。

 

ある地域では、「本当に営業しているのか?」と思うほど外観から廃業の気配すら漂う店がありました。Googleマップで確認すると営業中とのこと。半信半疑で入店してみると、意外にも8名ほどのお客様が談笑しています。

 

そして驚いたのは、店名にラーメン屋と掲げているにもかかわらず、メニューが「ちゃんぽん」一本のみということ。しかも入った瞬間に注文した扱いとなり、頼んでもいないのにちゃんぽんが自動的に出てくるという独特のシステムです。ただ、入店が重なったのか、「お待たせしますがよろしいですか?」と繰り返し尋ねられます。

 

「どれくらいかかりそうですか?」と聞いても、調理で手一杯なのか返事はなし。おばあちゃん二人で切り盛りされており、とても大変そうでした。それでも「お待たせしてすみませんね」と何度も声を掛けてくださり、結局10分ほどで提供され、美味しくいただきました。

 

また別の地域では、人気の居酒屋ランチに立ち寄りました。駐車場は満車で、「入れるだろうか」と心配しつつ店に入ると、カウンターに空席があり、待つことなく案内されました。日替わりは刺身定食。厨房では67名が忙しそうに動き回っています。

 

食後にはドリンクが選べたのですが、食べ終えた瞬間に「お飲み物はいかがなさいますか」と声掛けが入りました。これをすべてのお客様に遅れなく提供している様子で、食事の提供もアフターサービスもとてもスムーズ。終始ストレスのないお店でした。

 

ほかにも色々なお店を利用していますが、今回挙げた2店舗に共通しているのは「期待を裏切らない」という点です。ちゃんぽん店は期待値自体が低かったかもしれませんが、いずれにしてもストレスは最小限で、むしろ感謝の気持ちと強い印象が残り、誰かに勧めたくなる店でした。

 

最近の飲食店は効率化や人手不足の影響でタブレット注文が主流となり、スタッフと接する機会が減りました。それ自体を否定するつもりはありませんが、人とのコミュニケーションが薄くなる分、顧客体験としてはどうしても弱くなります。

 

その点、今回の2店舗では「人」がサービスを提供することのプラス面を改めて感じました。多少待たされても、それが不快ではなく、むしろ温かさとして伝わる。根底には「お客様を大切にする」という姿勢があるのだと思います。

 

逆に、少し待っただけでもスタッフの対応次第では印象が悪くなることがあります。そもそもスタッフを呼びたくても姿が見えず、声を掛けにくい店も少なくありません。ほんの小さなストレスが、お店から足を遠ざける理由になります。

 

今回の2店舗は、ある意味で「当たり前」のことをしているだけなのかもしれません。ただ、その当たり前が最近は減っています。そして、当たり前をきちんと積み重ねることにこそ、強みは宿るのだと感じました。

 

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