先日、10年来の診断士仲間とともに、同期会を実施しました。今年で11回目になります。
例年は居酒屋やレストランで会食をして終わりでしたが、今回は私の地元にほど近い地域に宿泊し、周辺を軽く観光するプランで実施することになりました。
私にとっては地元と言える場所なので、正直なところ、そこまで特別さは感じないだろうと思っていました。ところが、実際に行ってみると、かなり新鮮で、新たな発見や気づきが多い同期会となりました。
まず、地元に帰るのに観光列車やクルーズ船で移動することは、通常ありません。それだけでも新鮮でした。観光客に混ざって周辺の写真を撮ったり、観光施設を回ったりしていると、自分が知っているつもりでいただけで、実は浅い知識しか持っていなかったことに気づかされました。
また、地元の宿泊施設に泊まる機会も、ほとんどありません。多くの方がそうだと思いますが、地元に帰れば実家や親戚の家に泊まることが多く、あえて地元のホテルに泊まることは少ないものです。私もその一人で、「たまには地元のホテルに泊まるのもいいか」ぐらいに考えていました。
しかし、実際に宿泊してみると、これもまた新鮮でした。仲間と泊まること自体も楽しかったのですが、ホテルの食事やサービスを体験することで、地元に来る観光客の気持ちが少しわかりました。
同時に、改めて地元の良さを感じることもできましたし、逆に「ここはもう少しこうした方がよいのではないか」と感じる点もありました。つまり、文字通り、客観的な視点を持つことができたのです。
そこに住んでいたり、ずっと同じ環境で過ごしていたりすると、客観的に見ることは難しくなります。何でも当たり前になってしまい、良いところも、改善すべきところも見えにくくなります。
これは、会社経営にもそのまま当てはまると思います。
同じ業界、同じ会社で、同じ商品やサービスを長く提供していると、すべてが日常になります。自分たちにとっては当たり前のことになるため、その価値に気づきにくくなります。視野が狭くなり、新しい発想も生まれにくくなる。
本当は打ち出すべき強みや特徴があるのに、自分たちではわからない。まさに灯台下暗しです。
良い部分はたくさんあるのに、それに気づけない。気づけないから、言葉にできない。言葉にできないから、ホームページやチラシ、営業トーク、接客の中で伝えることができない。伝わらなければ、お客様は選ぶ理由を持てません。
その結果、業績が悪くなると、新しい商品を作らなければならない、新しいサービスを始めなければならない、もっと広告を出さなければならない、と考えてしまうことがあります。
もちろん、新しい取り組みが必要な場面もあります。しかし、その前に、今ある商品やサービスの価値をきちんと見直すことも大切です。本当は生かすべき強みがあるにもかかわらず、それに気づかないまま別の方向へ進んでしまうこともあるからです。
地域活性化も、経営改善も、似ているところがあります。
地元の人ほど地元の良さに気づかない。会社の人ほど自社の良さに気づかない。当たり前だと思って放っておく。伝わらないから、お客様に選ばれない。すると、強みとは少しズレた施策に走ってしまう。そうした悪循環は、意外と多いのではないでしょうか。
今回、地元に泊まって観光してみることは、かなり良い経験になりました。地元の土産店に入り、試食をし、接客を受け、買い物をして、地元グルメを味わう。普段なら通り過ぎてしまう場所を、観光客の目で見てみる。それだけで、見え方は大きく変わります。
これは、自社の商品やサービスでも同じです。
一度、お客様として自社の商品を買ってみる。予約してみる。問い合わせをしてみる。店舗で接客を受けてみる。説明を聞いてみる。納品までの流れを体験してみる。
自分で体験することが難しければ、家族や知人に使ってもらい、率直な感想を聞くのもよいと思います。競合他社の商品やサービスを、お客様として体験してみることも有効です。
大切なのは、客観視できる状態をつくることです。
自分のことは、自分ではなかなかわかりません。だからこそ、あえて外部の人間としてふるまってみる。いつもの主観から、いったん客観に切り替えてみる。
そうすると、良い点も、改善すべき点も、素直に見えてきます。そして、それを踏まえたアイデアは、机上の空論ではなく、実際のお客様の感覚に近いものになります。
新しいことを始める前に、まずは今ある価値を見直してみる。自社の当たり前の中に、まだ伝えきれていない強みがあるかもしれません。

