
「『美容室』倒産が急増 1-4月は最多の46件 人件費や美容資材の価格上昇が経営を直撃」2024年5月10日、Yahoo!ニュースはこう題した記事を掲載しました。記事によれば、「2015年以降の10年間で、2018年と2019年の32件を抜いて最多を更新した」としています。
一方、厚生労働省統計「令和4年度 衛生行政報告例」によれば、美容所は26万9889軒(前年比5,666軒増加、コンビニの4.5倍)あり、過去最高を更新しています。ちなみに美容室は30年以上増え続けており、平成元年(1989年)の18万5452軒から84,437軒増えています。
また、美容師の数も増加の一途で、平成元年の31万4175人から令和4年は57万1810人と実に25万7635人も増えています。倍増と言ってもいい増え方です。
他方、美容業の市場規模はこの数年1兆5千億円前後で横ばい、20年前は約1兆6千億円(矢野経済研究所)であったことから、長期スパンでの市場規模は減少傾向にあると言えます。
冒頭の美容室倒産件数が増加したというニュースの一方で、美容室数、美容師数は年々増え続け過去最高を更新。そして市場規模は長期的に減少傾向。これは何を表しているのでしょうか。
ちょっと計算してみましょう。令和4年の市場規模を美容室数で割れば1店舗あたりの売上がわかります。計算すると555万。一人あたりでは262万。いずれも1年間の数字です。
ついでに平成元年の市場規模を1兆6千億と仮定してざっくり計算すると、1店舗あたり862万。一人あたり509万。さて、皆さんはこれを見てどう感じるでしょうか。
美容師は以前から労働環境がハードかつ薄給のイメージが定着しています。実際、長時間働いても手取りで15万程度の給料も珍しくありません。随分前にカリスマ美容師が流行りましたが、今でも都心の一部店舗は高単価なサービスで高い収益性を実現しています。
ただ、それはほんの一握りの店舗のみで、全国にある店舗の大半は相場通りの料金でサービスを提供しています。立地によって多少変わるとはいえ、売上は先ほど出した平均の数字に収斂されていくということです。
先ほど一人あたりにすれば262万と算出しましたが、これは経費が差し引かれていません。つまり月にすれば20万もない。俯瞰してで見れば、美容師の給料はそもそも低くなるのが避けられない業界構造なのです。
「美容室」というビジネスモデルでこれからも勝負するのなら、上記の数字を基にある程度の予測が可能です。ただ、それはあまり明るい未来ではないかもしれません。
過去の延長線上からステージを変えるには、なんらかのプラスアルファ、もしくはビジネスモデルを変革する必要があります。
川上(メーカーやディーラー)を巻き込むのか、川下(ライフスタイル提案など)まで踏み込むのか。あるいはまったく別の業界とコラボレーションするのか。時流に乗ってYouTubeやSNSで新たなサービスをつくるのか。
これは業種が違っても同様の考え方ができます。いずれにしても現状維持は衰退の始まりです。ぜひ新たなことにチャレンジしていきましょう。明るい未来はあなたの行動によってつくられます。

コメント