アパレル業界に携わって25年以上になりました。すでに店舗はほぼ手離してますが、百貨店にある1店舗の運営に少しだけ関わっています。
アパレル店舗の売上はブランドや立地によって大きく左右されます。と同時に誰が店長をするかでも相当数字が変わってきます。むしろ人が変わることで数字が変わることの方が多いかもしれません。
店長は十人十色でそれぞれに特色があり、スタッフも同様です。いずれにしても、売れる人と売れない人には明確な差があります。
売れないスタッフの典型は接客が「テンプレート」になっていることでしょうか。つまり誰に対してもロボットのように同じセリフを繰り返すのみ。「いらっしゃいませ」「そちら新作ですよ」「色違いもありますよ」「鏡で当ててみてください」… そういう指導をされているのでしょう。
一方、売れるスタッフはお客様の状態に合わせてヒアリングをベースに接客を組み立てます。当然いきなりは勧めません。目的や好みを明確にした後、それに合わせた提案を行います。
これはどの業界でも共通することです。要はお客様のニーズやウォンツをどこまで把握できるか。どんなお困りごとが解決できるのか。ビジネスの要点はここにあります。
さて、アパレル店舗では基本的に個人の売上実績で評価されますので、個人予算として毎月の売上目標が与えられます。ただ、売上を取るにはどうしたらいいのかわからないスタッフは意外に多く存在します(一応指導や研修はありますが)。
これは新人だけではなく、ベテランでも意外に多いと感じます。何となく続けてきた結果、自分なりのスキルを身につけていますが、感覚でやっているので再現性がなく新人にも教えられない。これは「売れる人」でもそうで、なぜ売れるのかが説明できない。
この点、細かな接客スキルの言語化、トレーニングも必要な一方で、「何を目標にするか」で結果は変わってきます。よくある「服をどれだけ売ったか」という目標ではなかなか成果に結びつかない。では、どう変えるか。
…「来店客を何回試着室に誘導できたか」に変えると、多くの店で売上が急上昇します。こうすることでスタッフ側がやるべきことが明確になり、数値化しやすく行動にもつながりやすい。「試着室を使ってもらうにはどうしたらいいのか」を考え行動するようになります。
何より、お客様は試着すると確実に購買率が上がります。一度着てしまうと自分のものという感覚が生まれ、また単に鏡で当てたり、頭でイメージするだけの数十倍は購買意欲を刺激されます。つまり欲しくなる。
手に入れた後のイメージがダイレクトに伝わり、購買率が上がるわけですから試着してもらわない手はありません。ということで、売上ではなく試着室への誘導回数をKPI(重要業績評価指標key performance indicator)に設定する。
スタッフも目標のハードルが下がるので行動しやすいうえに、すぐに成果も数値化されて気持ちも上がる。おまけに売上も確実に上がっていくので自信につながる。
売上は成果目標であり、試着室への誘導は行動目標です。成果目標はやってみないとわからない反面、行動目標は「自分がやるかやらないか」で、自分の行動にすべてがかかってきます。要は行動あるのみ。
経営者の皆さん。あなたの会社には行動目標がありますか? 成果目標だけでは現場が疲弊し、業績が落ちる恐れがあります。適切なKPIを設定し、売上倍増への道を進んでいきましょう。

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