
先日、経営相談会にて3社の経営者と面談をしました。毎回、時間にして1社あたり1~2時間程度で、ご相談に来られる経営者が持つ課題を明確にし、解決するお手伝いをしています。
この際、私が最も重要だと思っているのは、経営者の「本音」を引き出すことです。特に経営者が持つ課題はさまざまな事象が重層的に関わっていることが多く、表面的な話を聴いて簡単に助言ができるようなものではありません。
そもそも現状の把握や整理ができていない経営者も多く、現状の整理をしたうえで本音を聴かないと認識を誤る恐れもあります。
経営相談でいきなり本音を言ってくれる経営者は皆無です。本音を聴くには徹底的に傾聴することが基本になります。ただ聞くだけでは当然ダメで、その人に興味を持って接することが最初の一歩です。
この点、表面的な話に終始し、専門家が一般的な正解めいたことを言って終わる。私の知る限りこんな相談会が多いと感じています。
私がアパレル小売店の経営者をしていたころ、専門家と言われる人たちに相談したことがありました。やはり表面的な話だけ聞いて、どこかで聞いたことのある当たり障りのない話をされ、何の解決にもならなかったのを覚えています。
そもそも現状すらろくに聞かず、自分が思う正解だけを伝える。やっつけな仕事で適当にやり過ごす専門家にあたってしまうと経営者は不信感しか残りません。
こちらが相手に対して興味を持っているかどうか、経営者ははっきりと察しています。言葉遣いや質問、身振り手振り、姿勢、目の輝きなど、全身からそのサインは発せられ、興味の有無が明確にわかります。
一方、こちらが興味を持って、「本当に聴いて欲しいこと」を深掘りして聴くと、相手の目に光が差してきます。明らかにそれまでとは違った場の空気になる。
こうなると立て板に水の状態で経営者は話を続けてくれます。信頼関係が生まれ、表面的なことではない、「ここだけの話」をしてくれるようになります。今回の3人の経営者も、全員が「誰にも言っていないんですが…」と心の内を話してくれました。
本音が聴ければ、間違いなく課題は解決に向かいます。逆に聴けなければ経営課題は絶対に解決しません。
これは仕事以外でも同様で、家族間でも、友人間でも本質的な課題は本音がないと絶対に解決しません。表面だけこねくり回しても、より一層混乱を招くだけです。
相手の本音を聴くには、こちらの聴く姿勢が最も重要です。相手に興味を持ち、聴き役に徹する。細かなテクニックの話ではなく、その在り方がコミュニケーションの行方を決めます。
適当に半身で聞いても相手が本音を言ってくれることはありません。建前だけの日常会話で終わりです。相手と正面から向かい合うことから、本音をやり取りする本当の「対話」が始まります。

コメント