
アパレル業界では「バーゲンハンター」と名付けられた、セール狙いのお客様がいらっしゃいます。その名の通りバーゲンセール時にしかご来店がなく、絶対にセール品“だけ”しか購入しない行動特性があります。
小売業全般ではチェリーピッカーとも言われ、割引品や特売品だけを購入する特性はバーゲンハンターと同様です。
ここでその良し悪しは論じようと思いませんが、店舗側からするとあまりプラスにはならない(多くはマイナス)ため、現場のスタッフからはあまりいい感情を持たれていないのが正直なところでしょう。
私もアパレル業界で長く働いていたこともあり、本当にいろんなお客様に対応させていただきました。今はさまざまな業種のクライアントのご支援をしていますが、やはり同様の価値観はどの業界でもあるようです。
彼らは「価格の安さ」や「割引率」へのこだわりが強く、正規の価格では絶対に購入しないという強い意思があるようにも感じます。
この点、今は物価も高騰し、少しでも安く済まそうと割引品を購入する気持ちは私にもわかります。というか私も買いますが、これが「常に割引品だけ」になると大分話が変わってきます。
企業の儲けの源泉は粗利(売上-変動費)であり、割引をするとその分きれいに粗利がなくなります。つまり儲けが少なくなる。その分スタッフの給与や家賃、光熱費の負担が重くなり、最終的な利益も減少する。
企業努力が足りないと言われればそれまでですが、割引品や安いものだけを購入する層は一定数存在するため、その影響は無視できません。
さて、バーゲンハンターと呼ばれる方は割引品を買うだけではなく、「クレーム」が多いのも特徴の一つです。不良品ではないにも関わらず、些細なことでクレームを言ってこられる傾向があります。
もちろん対応はするのですが、大半の場合通常より時間がかかります。とにかく納得されず、やむを得ず遠方から取り寄せをすることも少なくありません。
結局、正規の価格で購入されたお客様よりも「時間・労力・お金」を使ってしまい、おそらく赤字になっているパターンも多いでしょう。逆に「お得意様」と言われる方からはほぼクレームがない。
現場はどんな方でもお客様として平等に扱う意識が働きますが、バーゲンハンターと呼ばれる方の接客では、心身がすり減らされることの方が多いかもしれません。
多くの店舗ビジネスでは、顧客に対するサービスをあえて区別する施策があります。「常に正規価格で買われるお客様」と、「バーゲンハンターの方々」に同様の手厚いサービスをするのはさすがに無理があります。
私は顧客ごとにサービスに差をつけるのは必要な施策だと考えています。ボランティアならともかく、市場で同業他社と競いながら、顧客に対して真っ当な価値を提供し、得た対価をさらに投資して新たな価値を提供する。
それを理解し、サービスに対する「正当な対価」を喜んで、しかも何回も支払ってくれる顧客を大事にするのは当たり前です。
あなたの会社の「理想の顧客像」はどういう人なのか。とりあえず買ってくれれば誰でもいいから、と不明確なままでは客層が悪化する可能性が高まります。そして理想の顧客は離れていく。
特に中小企業でターゲットを広げ過ぎては消耗するだけです。商品・サービスとともに、お客様も「絞り込む」ことを優先的に行い、独自の価値を提供していきましょう。

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