ニュースの論点No.252 裏でコソコソすると‥

 「日本で横行している『ステルス値上げ』の知られざる実態」2022221日、現代ビジネスはこう題した記事を掲載しました。記事によれば、「価格は据え置いたまま商品の重量・容量を減らし、実質的に値上げする『ステルス値上げ』。特に食料品などでよく使われるこの方法に対して、SNSなどでは怒りの声も大きい。」としています。

 

 ステルス値上げは、その名前とともに数年前から徐々に方法が知れ渡ってきました。シュリンクフレーションとも呼ばれるそうです。消費者にわからないように、価格は変えず「こっそり」内容量を減らす方法なので、「騙された」と消費者の反感を買いやすい行為と言えます。

 

 ちなみに、パッケージに表示された情報(内容量等)が正確であれば、ステルス値上げを実施しても特に法的責任を問われることはないとのこと。とはいえ、消費者から見れば裏切られたと感じるのは無理のないことかもしれません。

 

 一方、企業側も好きで「ステルス値上げ」をしているわけではありません。原材料の高騰が商品原価を上げ、価格に転嫁せざるを得ない状況なのです。ですが、単なる値上げでは顧客離れが起き、小売店の売上にも影響を与えます。そうなると一気に市場から淘汰される可能性もあります。結果、「価格は変えず、量を減らす」ことが対症療法的解決策として選択されるのです。

 

 ステルス値上げは、顧客からの支持を落とさず、かつ値上げもしないで済ませる「企業努力」と言えばそうなのかもしれません。世間的には少しの値上げでも買い控え、あるいは他の商品にスイッチしてしまいます。収入が増えず、将来不安も強い状況がつづいていますので、「できるだけ安くモノを買いたい」という節約志向は根強く、企業もその価値観に合わせざるを得ないのです。

 

 翻って、「安くていいもの」はそれ自体とてもいいことだと私は思います。しかし、無理をした結果企業に利益が残らず、そこで働く従業員の給料も上がらなければ、ますます購買力は低下し、デフレスパイラルから抜け出せなくなります。

 

 ここで大所高所から論じてしまうと本1冊以上の分量になりますので、今回は中小企業の視点として重要なポイントを深掘りしたいと思います。

 

 まず業界を問わず、中小企業としてもっとも不毛でやってはいけないことは、他社との値下げ合戦です。売上を取るため、また顧客を増やすために利益を度外視して「少しでも他社より安く」値下げ販売を行う。これをやっている会社は少なくないと思います。

 

 はっきり言ってこのやり方では続きません。市場も荒れます。お客様は高いから買わないのではなく、価格以上の「価値」を感じないから買わないのです。しかも、一度安くしたらその価格が基準になります。「この前は安かったのに」と、正価で買うと損をした気分になってしまうのです。こうして「この価格が当たり前」となり、企業が無理をした「安くていいもの」が増えていきます。

 

 値下げ合戦でそもそも薄利の中、原材料が高騰すると、記事のような「ステルス値上げ」で何とか切り抜けようと企業努力をします。ですが、お客様は気づいています。説明の必要はないかもしれませんが、信頼関係には確実にひびが入ります。

 

 企業、消費者いずれにもデフレスパイラルの要因はあると思います。「卵が先か鶏が先か」のように、給与を上げるのが先か、価格を上げるのが先か、というような議論も散見されます。私の意見は、(中小企業に関しては)そのいずれでもなく、「常に価値に見合った価格で販売する」ことに尽きると思っています。

 

 価格を上げるというよりも、価値に応じた、適正な利益が出せる価格で販売すること。もっと言えば、顧客にその価値を伝えて「欲しい」と思わせる力をつけること。この点に尽きると思います。ステルス値上げのようなやり方は、消費者から見ればあまり好ましいことではありません。「先に言えば説明、後に言えば言い訳」です。経営者の皆さん、ぜひ、堂々と価値を伝えて、適正価格で販売する力を身につけましょう。

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