ニュースの論点No.618 流行の怖さ

 「『10円パン』に大行列! “韓国を真似ればヒット”の法則は本当か」2023214日、ITmediaビジネスONLINEはこう題した記事を掲載しました。記事によれば、「『大王チーズ10円パン』をご存じだろうか。10円で買える激安パンではなく、500円で買える10円硬貨型のスイーツのこと。韓国発祥の商品で、若者を中心に人気が集まっているのだ」としています。

 

 10円パンのホームページには「チーズのしょっぱさとベビーカステラのような甘めの記事があいまって美味しい大王チーズ10円パン」との記載があります。デザインは10円硬貨で、サイズは結構大きく顔が隠れるくらいの大きさがあります。

 

 この「10円パン」の元ネタは韓国慶州で売られていた「慶州10ウォンパン」と言われています。観光土産として10ウォン硬貨型のスイーツを発売したところ大ヒットしたそうで、それが日本に入り「10円パン」に生まれ変わって人気を博しているのです。

 

 いわゆる韓流ブームは「冬のソナタ」が先駆けでした。同時期に東方神起が日本デビューし、その後次々とアイドルグループ(KARA、少女時代、BIGBANGなど)が生まれ、近年ではBTSなど世界的人気を博すグループを輩出しています。ドラマに関しても近年ヒット作が多く出ており、「愛の不時着」や「梨泰院クラス」などが注目を集めました。

 

 食の分野では、チーズタッカルビやチーズハットグ、ヤンニョムチキンなど誰もが知る商品が定期的に名を連ねています。

 

 以上のように韓国でヒットした商品は特に若年層に人気が高く、日本でもそのまま、あるいは形を変えてヒット作となるパターンは多く見受けられます。

 

 ただし、ヒットすれば分野を問わず模倣が増え、市場はすぐに飽和状態になります。10円パンは早くも模倣品が出回っているそうで、おそらくブームはすぐに収束するでしょう。

 

「ブームは供給過剰の直前の状態である」と喝破したのは経営コンサルタントの一倉定氏ですが、その言葉通り、一気に市場が満たされるとその人気は一気に下降します。

 

 これは個人的な見解ですが、人気度も含め、何でも短期間に増えたものは“増えた時と同じ角度”で一気に減ると考えています。投げたボールが放物線を描くように、上がった角度がほぼそのまま下がる角度になります。ある意味物理的な法則であり、自然現象の一つだと私は考えています。

 

 徐々に広まっていけば徐々に人気が出始め、徐々にファンが増えていく。掛けた時間の分だけライフサイクルも長くなる。当然例外はありますが、大半は同じように推移します。

 

 世間では「一発屋的なヒット」が毎年のように現れます。一発屋をボール投げに例えれば、ほぼ真上に投げた状態でしょうか。最近ではSNSの効果でバズりやすくなっており、消費サイクルのスピードが桁違いに上がっています。ボールがたくさん投げられても、高さや距離がまったくない状態です。

 

 ゆっくりと育てたかったのに、図らずもバズってしまった。ピラニアの群れに食い尽くされるように、価値を棄損された後は目も当てられません。一度陳腐化してしまうと復活するのは容易ではないのです。この点、あえてバズらせないというのも戦略の一つです。まずは自社の価値基準を明確にし、安易な“バズ狙い”で価値を棄損しないようにしましょう。

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