
「安易に始めると地獄…キッチンカーの過酷な実態 売上の20%がテナント料で消える」2023年3月4日、BusinessJournalはこう題した記事を掲載しました。記事によれば、キッチンカービジネスに参入したは良いものの「コロナ禍に伴う市場の変化など、さまざまな要因によって当初の計画通りに事が運ばず、廃業を迫られるケースも出てきている」とのこと。
コロナ禍になってからというもの、飲食店経営者から結構な割合でキッチンカー業態参入のご相談を受けています。補助金が使えることもあって、気軽に始められて儲かる(と思っている)ことが注目された要因でもあります。お客様が来ない状況で「座して死を待つ」のではなく、キッチンカーでも何でも、がむしゃらに売上を取っていきたいという強い思いもあるでしょう。
さて、何でもそうですが、事は簡単に運びません。飲食店経営者だからと言って、キッチンカー業態がうまくいくとは限らない。近年は上記のような状況でしたので、既存プレイヤーに加え新規参入も山ほど増えました(廃業も)。
ちなみに東京都の数字で見ると、2021年はキッチンカー4608台が登録されています。キッチンカーの平均年収は700万程度と言われており、単純計算すれば東京都だけで322億円の市場となります。GDPで見れば東京が2割を占めていますので、キッチンカー市場は日本国内で1600億円程度になるでしょうか。
2021年度の外食市場規模(中食含む)は、27兆412億円となっており、キッチンカー市場はその0.6%です。市場としては伸びていても、外食全体で見れば微々たるものなんですね。
せっかくなのでキッチンカー市場を深掘りしてみましょう。アンケート(株式会社3A、2021年4月)によれば、出店場所はスーパーなどの「商業施設」、「イベント」、「道の駅」などが大半を占めます。人気メニューは「クレープ」、「たこ焼き」、「唐揚げ」がトップ3です。キッチンカーに求めることは「美味しさ」、「値段」、「衛生面」とのこと。
想像通りと言えば想像通りの結果です。たまに珍しいメニューや地元ならではの食材を見ますが、やはり昔からある定番メニューが人気なんですね。
キッチンカーは「移動できること」が強みの一つです。この点、日常的な使い方よりも非日常な場面での需要が高くなるのはアンケートからも明らかです。オフィス街などで常駐するのはなかなか難しく、当たり前ですがイベント等への積極的な出店による攻めの営業がポイントになります。
そして記事タイトルにもありますが、出店料は概ね10~20%で設定されています。これは他のビジネスと比較しても決して高すぎることはなく、そんなものだと思います(集客数にもよります)。要するに必要経費であり、どこまで出すかは経営者のセンスによるでしょう。
イベント需要という一過性のものをどれだけ安定させ、固定費を下げつつ稼働率を上げるか。ここが一つのポイントになります。この点、移動できることをフルに生かさない手はありません。そして長く続けるのであれば、メニューは突飛なものではなく飽きられない定番品です。こう書いていると、結局は通常の実店舗と同じであることがわかります。
流行りだからと飛びつくと必ず痛い目を見ます。結局はどの商売も同じように難しいのです。こんなはずではなかった…にならないよう、安易な参入は控えるようにしましょう。

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