
「喫煙や失業よりも『賃貸住宅で暮らす』ほうが老化が早い、研究結果」2023年10月15日、ForbesJAPANはこう題した記事を掲載しました。
記事によれば「賃貸住宅に住むことによるストレス、たとえば家賃を払うお金がない、住居環境が悪い…、~中略~ 失業より100%、喫煙より50%以上も生物学的な老化が早まり、『健康に深刻な影響が与えられる』ことをオーストラリアの研究チームが明らかにした」とのこと。
また、「論文では、持ち家の人よりも賃借人が毎年2週間も多く老いていく」としています。
賃貸に住む人にとっては、なかなか衝撃的な研究結果です。ただし、この手の記事では「あること」を見誤るパターンが非常に多い。ですので、個人的には気をつけた方がいいと思っています。
あることとは、「因果関係」と「相関関係」の違いです。因果関係とは、文字通り「原因」があって「結果」があり、「原因⇒結果」の一方向のみです。例えば、「毎日ランニングすると体力がつく」のようなイメージです。
一方、相関関係はお互いが影響しあう「事実A⇔事実B」で双方向の関係となります。例えば、「身長が高い人は体重が重い」のは相関関係と言えます。
今回の記事ではあたかも「賃貸住宅で暮らす⇒老化が早い」の因果関係をクローズアップしているように見えます。しかし、賃貸住宅で暮らしたからと言って必ずしも老化が早まるわけではありません。実際は「賃貸で暮らす⇔老化が早い」の双方向、つまり相関関係があるというのが本当のところでしょう。
老化が早まるのにはさまざまな因子があります。賃貸住宅に住むだけで老化が早まるのではなく、劣悪な賃貸住宅に住まざるを得ない個別の環境(貧困、無教育、治安の悪さ等)が直接的に老化を加速させる要因と言えます。
また、その逆である「持ち家に住めば老化が遅い」というのも、因果関係ではなく相関関係と言えます。持ち家そのものが老化を遅くするのではなく、持ち家に住めるような収入、教育、治安等が直接的に関わってくるのです。
ビジネスにおいても、「○○をしたから売上が伸びた」や、「○○で求人応募者が増えた」「○○をしたから借入ができた」というのは、因果関係ではなく相関関係の可能性があります。お互いに影響する要素ではあるが、○○が因子とは言えない。つまり、○○のおかげで成果が出たわけではない。
そもそも「○○ができる環境にある」あるいは「○○をする余裕がある」ことが背景としてあります。因果や相関といった関係性もないかもしれません。この点、経営者は因果や相関などの関係性を洞察する必要があります。
特に因果関係は業績を左右する「再現性」にも大きくかかわります。効果的な施策を打つためにも、試行錯誤を繰り返しながら、有効な「因果関係」を再現性のある「型」に落とし込みましょう。

コメント