
「わたし、選ぶのやめました 昼ご飯はルーレット、旅・本・香水はガチャ 20~30代後悔減らす『賢い選択』」2023年11月6日、日経MJはこう題した記事を掲載しました。
記事によれば「意思決定は時にストレスだ。たくさんの選択肢から何かを選べることは贅沢である一方、多すぎる情報は負荷にもなり得る」とし、日常の意思決定においてルーレットやガチャを活用する若年層を取り上げています。
昨今、ネットの普及によって大量の選択肢が与えられ、ランチや洋服を決めることなど、普段の「意思決定」にすら相当な負荷がかかっています。また、スマホの通知が1日中入ってくることで、選択回数そのものが増加しています。「自分で選びたくない人」が増えるのは仕方がないことかもしれません。
諸説ありますが、人は1日に数百~数万の意思決定をしていると言われています(ケンブリッジ大学の研究では3万5000回)。話す際にどんな単語を選ぶか、というような細かなことまで入れると数万単位になるようです。最近は先述のように“余計な”選択が増えたことで、意思決定の数はもっと増えているでしょう。
「決断疲れ」は確実にパフォーマンスを低下させます。決断の質は、朝から夜にかけてどんどん落ちていきます。たとえば、「夕食はもう何でもいいや」という状態。皆さんも経験したことがあると思いますが、これは体の疲労だけでなく決断疲れが原因かもしれません。
フレンチェスカ・ジーノ(ハーバードビジネスレビュー)は、心理学者の研究「判事の仮釈放決定割合の変化」を取り上げ、決断の質が時間帯によって落ちること(認知疲労)を実例で説明しています。
研究では、「判事が仮釈放を認める割合は1日の始まりには約65%と最も高く、その後は急速に低下していった」、「食事休憩に入る直前にはゼロに近くなり」、「休憩後は仮釈放割合が高まり」、「1日の最後ではゼロになる」としています。
仮釈放の割合が「65%」と「0%」とは、なかなかの差です。朝から審理されていれば仮釈放だったかもしれない人が相当数いたでしょう。終業間際に否決された囚人が知ったら、「運が悪かった」の一言では到底納得できないと思います。
さて、二つの立場で教訓があります。まず決断する側は、極力ムダな決断を避け、決断の質を上げる。そして、決断をゆだねる側は、もし選べるのなら(囚人は審理の時間を選べませんが)、「朝イチ」もしくは「昼イチ」で決断を仰ぐ。そうすると認知疲労も少ない状態でフェアな結果が得られやすいでしょう。
経営者の皆さん。重要な決断は午前中(できれば朝イチ)に取り組むようにしましょう。無意識な認知疲労は思わぬ後悔をもたらす可能性があります。

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