ニュースの論点No.784 創造的破壊

「企業は代表が高齢なほど財務が悪化傾向 投資に消極的 黒字率トップは40歳代の78%」202494日、産経新聞はこう題した記事を掲載しました。

 

記事によれば、「令和5年度に黒字だった企業の割合は、40歳代以下では8割近かった一方、80歳以上では7割を切った」としています。

 

生物学者の福岡伸一氏が生命の本質を「動的平衡」と表現したように、私たちの体も細胞が入れ替わり、創造的破壊を繰り返して恒常性を保っています。

 

人間だけでなく、組織や企業も同様に、新陳代謝を続けていくことで持続的に成長できるのです。逆に、新たなことに挑戦せず、同じことを繰り返していては、組織は徐々に老化し業績も停滞するでしょう。

 

企業が抱えるこの「動的平衡」のポイントは、「壊れる前に自ら壊す」ことです。現状に固執せず、あえて変化を取り入れることで、新たなビジネスチャンスを掴む可能性が広がります。

 

これは、細胞が壊れる前に自ら壊し、新しい細胞を生み出すのと同じ考え方です。自らの組織も定期的に見直し、新しい人材やアイデアを取り入れることで、新たなエネルギーを得ることができるのです。

 

では、どうすれば組織が新陳代謝を促進できるのか。一つは「居心地の悪い場所」にあえて身を置くことです。日常のコンフォートゾーンに留まると、視野が狭くなり、現状に満足しがちです。

 

経営者であれば、他業種の経営者や専門家との交流の場に積極的に参加し、自らの価値観や考えをアップデートしていく必要があります。また、自社組織においても、新たな人材を積極的に受け入れ、組織の多様性を高めることが新たな視点をもたらすでしょう。

 

翻って、組織の新陳代謝を阻害する要因の一つに「トップの固定化」が挙げられます。先述の調査では、80歳以上の経営者の企業で黒字率が低下しているという結果が示されています。

 

高齢の経営者ほど変化への対応が遅れ、結果として企業全体の成長が停滞してしまうのです。こうした状態を打開するためには、トップ自らが変わる意志を持ち、世代交代を視野に入れた事業継承への取り組みが重要です。

 

新しい挑戦にはリスクが伴います。しかし、現状維持もまた大きなリスクであることを忘れてはいけません。停滞は老化であり、最終的には衰退につながります。だからこそ、変わり続けること、すなわち動的平衡の維持が企業にとっての生命線なのです。

 

経営者の皆さん。自社の現状を見つめ直し、新たな一歩を踏み出す勇気を持ちましょう。新陳代謝を促進し、絶えず変化し続ける組織こそが、これからの時代を生き抜いていくのです。自らの手で未来を切り開く、その決断が企業の新たな命を育むことにつながるでしょう。

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